海外に出る仕事を考えるエントリー第2弾です。海外で働くシナリオには以下のようなものがあります。
- 海外で採用・・・外国で、現地企業、あるいは日系企業に採用される
- 海外に赴任・・・日本で採用され、駐在員として海外に赴任する
- 海外に出張・・・日本で採用され、必要に応じて海外に向う
前回は、難易度の高い「海外で採用される」パターンについてイメージを膨らませました。
今回は多くの学生がたどる「日本で就職して海外に赴任する」ルートについて書きます。
海外赴任ルートが現実的な理由
単純に、間口が広い
日本で就職するほうが、入口が広いから。これにつきます。マイナビによると大手調査によると、2017年卒業予定大学生、大学院生の8月の内々定率は77.5%だったそうです(出典:2017年卒マイナビ大学生就職内定率調査)。
- 日本の大学生の4人中3人以上が、卒業まで6ヶ月の猶予を持って受入先が1社以上ある。
- 4割以上が第1志望に内定しており、第2志望以上であれば実に6割の学生が「希望する会社」に入社できる。
- 年度初めに、全国で30万人以上の新卒者が一斉に入社する(17卒の就職希望者は42万人で、上記の内定率を固定した場合)
こんな国は稀です。欧米では新卒で仕事を得ることが一番難しいので、真逆です。大手企業の多くは海外拠点を持っていて、たとえ新卒者であってもそこに投入する人材を必要としています。必要としてくれる会社にポンっと入ってしまうのもいいと思います。
競争がゆるい
海外インターンシップの事業に関わっていると、学生の大半が海外を目指しているような錯覚に陥りがちですが、一般にはそうでもないようです。2015年のデータですが、産業能率大の調査によると、新入社員の63.7%が海外勤務を望まず、また過去最高だったようです(出典:産経ニュース)。
強い意志は必要です。能力がいくら高くても、戦意がない人材を海外に置くような戦略は取りにくいものです。過半数が海外赴任を希望していないのであれば、不戦勝でチャンスが巡ってきます。
育ててくれる
日本の企業は社員教育が充実しています。というか、大概の新卒者は教育しないと使えない、と思われているのでしょう。ある意味残念ですが、働くイメージを持ちきれていない新入社員にとってはラッキーなシステムです。日本の大卒初任給は海外に比べて低いと言われますが、教育費と、半人前の社員を抱えるコストを考えると、あながち悪くないのでは、とすら思えます。
っということで、まずは海外拠点を持つ日本企業に就職し、海外赴任のチャンスを伺う、というのは多くの人が辿れる道です。
イメージが浮かぶ順にいくつか書いてみます。
では、どんあ選択肢があるのか?
イメージが浮かぶ順にいくつか書いてみます。
商社
世界中にネットワークを持ち、海外に出される可能性が高い。事業規模は巨大。世界中の名だたる企業や政府と提携、あるいはライバルとして戦う。扱う商材が多岐にわたるので、何を担当することになるか分からない、というリスクもありますが、外に出たい人にうってつけです。
ところで、「商社」って聞くたびに、妙な呼び名だと感じます。「商いを行う会社」って、それ、すべての会社がそうじゃないかと思うのです。いやディスるつもりはないのですが、まぁ、そんなこと気にするひといないか。
大手メーカー(完成品)
主要国にネットワークを持ち、希望者は海外に出される可能性がある。事業規模も大きい。業界を問わなければ、総合商社よりも数が多い(というか、ほぼすべての業界メーカーが存在する)。作っているモノが完成品なので、自社が作った製品を海外で売る、というのはイメージが湧きやすい。かつて花形と言われた一部メーカーの停滞は懸念されるとことですが、自動車やインフラなど、強い業界もあります。
大手メーカー(部品・材料)
主要国にネットワークを持ち、希望者は海外に出される可能性がある。事業規模も大きい。部材メーカーも完成品メーカー同様、競争にさらされていますが、他者が真似出来ない技術の特許をとり、さらに高度化することで世界1のシェアをとっている知られざるメーカーが日本にはたくさんあります。日本ガイシ(フィルター)、日本特殊等業(点火プラグ)、信越化学(塩化ビニール樹脂)、東レ(炭素繊維)など、まだまだあります。
地味に思われるかもしれませんが、これらの企業、給与も高いです。
営業系の文系学生にとって、これら企業に対するイメージが湧きにくい、という懸念があります(「私は御社の樹脂を世界中で売りたいです!!」とか心から思っている文系学生って、いるのだろうか)が、入社してしまえば、進むのみです。
中堅メーカー
絞った地域に拠点を持ち、希望者は海外に出される可能性がある。事業規模はスケールダウン。大手に比べて見劣りするのは、資金的な余裕ですが、かけられる人数が少ないため、逆に多くを任せてもらえます。
金融
主要国にネットワークを持ち、海外に出される可能性もある。事業規模は大きい。ただし、海外部門に配属されるのは厳選された優秀な社員に限られていることが多いです。(すみません、この業界については疎いので、自信がありません。)
スタートアップ
日本で成功した後、次の市場と定められた海外拠点にリソースを投入。ただ、スタートアップは会社によって事情が違いすぎるため一括りにできません。ソーシャルゲームで成功した企業が欧米、アジアに相次いで展開したようなケースもあれば、メルカリのような業態で挑むケースもあります。日本のスタートアップに入社して海外を目指す場合、個別のケースを検討したほうが良いです。
外資系企業は要注意
うっかり外資系企業の日本法人(業界問わず)に入ってしまうと、海外赴任させてもらえません。国際的で、外国で英語でバリバリ活躍するイメージがあるかもしれませんが、企業側の視点で考えてください。日本で雇う日本人には、日本の市場を担当させたいのです。社内的な連絡で英語を使うことはあっても、対外言語は日本語です。
例外的に、外資系企業の支社・視点だっとしても、たとえば「アジア・太平洋」という位置づけであれば、地域のなかでの異動はあるかもしれません。
海外で働く仕事として、最も現実的なルートについて説明しましたが、日本の外で働く人の話を聞くと、やはり個別的だと感じてしまいます。
やるひとは、やるってことなんでしょうね。
次回はケースその3「必要に応じて海外に出張する」について書きます。
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