このようなタスクが求められることがあります。
無茶に聞こえるかもしれまっせんが、60分以内に、出来る範囲で効率よく情報を収集して分析するしかありません。 僕が主催するシンガポールの研修プログラムでも、参加者にコレに近い課題を出します。スタートアップや企業調査に興味がある人はもちろん、いつも課題に追われている人にとって、作業のためのヒントを提供できればと思います。 せっかくなので、僕が最近クライアントに頂いたミッションを作例に、実際の作業成果も付け加えながら説明します。 タイのスタートアップ企業、eatigoについて、1時間以内に概況と市場性について電話で説明して欲しい、という内容でした。 では、仕事にとりかかりましょう!
0. 時間を意識する
課題文を分解すると「スタートアップ」「分析する」「60分以内」の3つの成分があります。このなかで、タスクとして最初に注目するべきはなんでしょう?
答えは「60分以内」という制限です。
「スタートアップ」も「分析する」はコンテンツを作るために重要です。でもクライアントに約束した(=受け入れてしまった)時間制限というのは、言い換えれば仕事の前提です。もたついていれば、どんなに良い構想を練ったところでタイムアップしてしまいます。 なので最初にするべきことは、条件を理解することです。このケースでは、タスクに時間を割り当てることから始めることになります。
1. 答えるべき質問を書き出す
さて、真っ白な紙を広げて、何から手を付るのか。
分析するというのは、質問に答えるということでもあります。スタートアップという目的語を考えた時に、質問者はどんなことを知りたいのでしょうか?代表的なを挙げると・・・。
- 【商品について】
- どんなサービスを提供している?
- ビジネスモデルは?
- 優れた点と、欠点は?
- 【市場について】
- どんなターゲットに訴えかけるのか?
- そのターゲットの市場性は?
- ライバルはだれか?
- リクエストによっては、企業について、という質問もあるかもしれませんね。
- 【企業について】
- 創業者とチームは?
- 投資家はだれか?
こんな漢字で、クライアントが知りたいであろう質問を選んで、書きこみます。
ここは是非、手描きではじめてください。キーボードで始めたい衝動は抑えた方がいいです。これまで数十人に研修してきましたが、手描きで紙に書いたほうが成果が上がりやすい。不思議なものです。 ↑が僕の作例です。提出するものではないので、好き好きに書きなぐって下さい。 僕が書き出した質問は以下のとおり
- How does the service work?
- What is the business model?
- What is appealing?
- Who are the targets?
- Who are the competitors?
- Who’s invested in it?
2. それぞれの質問に答えるための工程を書き出す
難しそうに聞こえるかもしれませんが、そこはインターネットの時代です。どんなサイトのどこにヒントがあるのか検討をつけて、検索して、発見した情報をもとに考えるだけです。
本命は企業のホームページ、メディアに掲載された記事、市場をみるには業界団体や政府の統計局などなど。ソースについては機会を見つけて別エントリーで書きたいと思います。 ↑質問に答えるための工程をTaskとして加えました。 質問にこたえるために決めた作業工程は以下のとおり
- How does the service work?・・・ホームページ(HP)で確認
- What is the business model?・・・HPから推測
- What is appealing?・・・HPから推測、記事、レビュー、ブログも。
- Who are the targets?・・・HPから推測、政府統計局も
- Who are the competitors?・・・スタートアップ系サイトで検索
- Who’s invested in it?・・・ニュース記事で確認
バカバカしいくらい簡単に思えませんか?でもこれを書くことが大切なんです。
3. それぞれの工程に時間を割り当てる
この時点である程度時間を使っていると思うので、そこを差し引いて、作業時間を決めて下さい。エイヤで決めて大丈夫です。割り当てた時間は、一目でわかるように枠で囲みます。 ↑割当てた作業時間を書き入れました。また、Taskの合計時間も右上に書き加えました。
- How does the service work?・・・ホームページ(HP)で確認(5分)
- What is the business model?・・・HPから推測(3分)
- What is appealing?・・・HPから推測、記事、レビュー、ブログも(5分)
- Who are the targets?・・・HPから推測、政府統計局にも(3分+8分)
- Who are the competitors?・・・テック系サイトで検索(10分)
- Who’s invested in it?・・・ニュース記事で確認(3分)
4. 時間厳守で、動く
さて、ここからはじめて検索と回答記入をするわけですが、もしタスクが完了していなくても、時間がきたら迷わず次のタスクに移ってください。解けない問題に固執することは、時間のロスにつながりますし、別のタスクにとりかかる中で前のヒントに出くわすということもあります。
時間を守るために、僕はタイマーアプリを使っています。ウェブブラウザにChromeを使っているなら、エクステンションのタイマーもありですね。 実際に検索しながら、手を動かして回答を書きつけます。
↑終わったタスクにバッテンをつけるのが快感です。 では、僕の回答を。
- How does the service work?・・・ニーズ応じたレストラン&割引クーポン検索から、予約までをスムーズに簡潔するサービス
- What is the business model?・・・成果報酬と広告(あるいは月額課金もありうる?)
- What is appealing?・・・クーポンと予約を完全に融合させたUIがわかりやすい。検索クエリが必要十分
- Who are the targets?・・・オンラインでレストランを予約する人。モバイルもPCも。
- Who are the competitors?・・・Open Table(アメリカ)、HungryHub(海外)
- Who’s invested in it?・・・12月に複数の匿名投資家から、シリーズAで100万ドルを調達した。
最終的にきれいにまとめる必要があれば、ここまでやって、はじめてパワーポイントを開くようにしましょう。
すでに知識と解釈が頭の中に入っていますので、後は形にするだけです。
注意点
◆作り込みすぎない
作例を見ていただいたらわかると思いますが、提出しない物を清書する意味はないです。自分がわかれば良いノートのようなものですから。 もしレポートの提出が求められているとしても、この方法のStep3までは手描きすることをおすすめします。
◆完璧を目指さないこと
上の分析と報告・・・もちろん穴だらけです。潜在市場規模は出せていないし、ターゲット層も大雑把。競合についても機能が違いますし、ほかにも沢山あるはずです。課金についても勘が大きい・・・。
ですが、企業の大枠は説明できています。クライアントありきの仕事であれば、自己満足の100点を目指すよりも、クライアントの満足度を押し広げることに優先順位を置くべきです。 電話で報告に満足してくれたクライアントからは、少しきれいにまとめて提出するように依頼されました。
まとめ
時間制限が厳しいときこそ、設計図から始めるよう心がけて下さい。設計図はラフなもので構いません。書く内容は、答えるべき質問、どこを見るべきか、それぞれの工程にかける時間。
これができたら、調査開始です!
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