シンガポールのスタートアップで日本の学生が3週間を過ごす研修プログラムSingapore Startup Hack Program (SSHP)。日本市場に興味をもっていて、進出の手がかりを探っている企業を手伝っています。研修生のゴールはスタートアップでの日常(≒課題や仕事)の中からヒントをつかみ、企業に提案することです。
経験や野心では気鋭のスタートアップチームにかなわないかもしれませんが、日本市場の肌感覚であれば日本から来た研修生に分があります。実際研修生たちは「おっ?」っと思うような視点をもって彼らに切り込むのですが、アイデアが聞き入れられないケースがよくあります。ここで折れたら惜しいなぁ・・・と思うこともしばしばあります。
今日は実例をもとに考えてみます。
ケース
ゲーミフィケーション(つまらないタスクにゲーム感覚を取り入れることで、積極的な行動を促す)で社員教育に改革を起こそうとする会社から、日本で面白い例があるかと問われました。研修生は直近でFacebook上でバズったマジタンWebの単語力測定ゲームを持ち出しました。僕は良い例だと思ったのですが、「単語テストなんてツマラナイ」と一蹴されてしまいました。
反対意見に押し切られる現実
流暢な英語で反論されると「自分の英語がつたないせいで聞き入れられなかった」と感じてしまうのは無理もないです。こっちが苦労して考えて短く口にする間に、向こうはマシンガントークしてくるわけですから。
こんな状況、どうすればよかったのでしょうか・・・。
1. 相手の主張を聞いて、考える
スタートアップ:”No one plays a vocabulary test. It’s boring!!”
ビシっと言われると「なるほど」と呑まれてしまうかもしれませんが、冷静に考えてみると「単語テストなんてツマラナイから誰もやらない」という反論は早計で、しかも論理的ではありません。なぜならこのテストはオンライン上で実際に流行ったのですから。
2. 自分の主張を「簡潔に」言う
上述の場合、相手の主張は簡単に退けることができます。
研修生:”But let’s face the reality. This test is currently popular in Japan.”
日本で実際に流行ってるのが現実なんだよ、と主張すれば、彼らは知らないことを認めざるを得ません。しかしここで終わるのでは単なる言い返しです。ちゃんと相手を納得させて前に進みましょう。
3. 主張をサポートする事実を言う
「流行っている」叫ぶだけでは、説得になりません。「どのように」流行っているかを示唆する事実を説明しましょう。
- Facebook、Twitterで大きく拡散されている
- ○○人の友人が使っている(=大学生の間で人気がある)
- 短期間で4500のシェア件数がある(=身内だけの話ではない)
ここは具体的な例でなくてはなりません。それが「流行っている」という主張とのつながりを意識して事実を伝えます。
4. 背景を説明する
「日本の大学生層に流行っている」ことが伝えられたら、「なぜ」流行っているのかを説明しましょう。例えば
- 結果がわかりやすい数字で示される(=日本人は学力偏差値、等級別の資格試験など、数値区分になれている)
- レベルの説明が刺さる(=外資系企業役員レベルなど、ターゲットの心をくすぐる)
- シェアされることで普及が進んでいる(=日本人は友達と比べる文化があるし、同調圧力もある)
まとめ
ポイントは、
- 自分の主張と理由を明確にしておくこと
- 慌てずに相手の主張を聞くこと
- 簡潔に結論を述べて、説明は後ですること
簡単に思えてやってみると難しいことです。しかしこの研修生チームは苦い経験を教訓にそれを克服しつつあります。大学生の適応力は素晴らしいです。
企業に対して主張する研修生
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