共有経済②シェアリング・スタートアップが成立する要因:インターンシップブログ

昨日のエントリーでは、AirBnbを例にシェアリングエコノミーの定義と、それが市場にもたらす現象について書きました。

共有経済①シェアリングエコノミーとは:インターンシップブログ

今回も、AirBnbを引き合いにして、シェアリングサービスが根付くための要因(どちらかというと、環境的な要因)について書きます。「共有」をキーワードに起業を考えている人にチェックリストとして活用してください。

満たされていないニーズがある

ホテルに空室がない、あっても高い・・・。世界中とバーチャルにつながる世の中になりましたが、それでも人は移動します。海外出張の際、ハイシーズンでもないのに驚くほど高いことがあります。「この日・この場所だけ」のようにピンポイントで高いこともあり、調べて見ると、世界的な見本市(商業イベント)が開かれていたり、有名人のコンサートがあったり。

AirBnbは世界中のホストとのつながりを謳っていますし、もちろんそのソーシャルな側面もありますが、着想のきっかけは、宿が確保できないイベント参加者に、自分たちの空き部屋を提供したことだったそうです。満たされない他人のニーズを、自分ができる方法でハックしたと。

イベントがなくても、ニューヨーク、パリ、ロンドンなど大都市の宿泊料金は非常に高いです。少なくとも(僕のように)高いと感じている人はいて、AirBnbを受け皿的に使っています。違ったニーズへの対応もできています。

それを解決する「新たな」資源が存在する

一般住居の空き室・・・先のエントリーで触れた、「資源の再定義」にあたる部分です。ホテルは満室か、高すぎて手が出ない。ならば、ホテルの代替として使えるものとして・・・その地域で暮らしている人に部屋を借りればいいという発想。ここに新規性があります。

実は、新たな資源は日常にあふれています。民家にしても、乗用車にしても、使わない洋服で溢れたクローゼットにしても、アラビア語の翻訳ができるお隣の奥様も・・・。しかし、今の生活にそれなりに満足している人は、それらを敢えて資源として見ることはないでしょう。もしも、目に映る全てに難癖をつけるような「不満足な」知人がいたら、チャンスです。

新たな資産の提供者に益する

収入と出会い・・・知らない人とのネットワーキングのためにAirBnbを活用する人がいます。特別なセッティングや素晴らしいおもてなしで有名になったホストもいます。一方で、収入の足しにする目的をもったホストもいます。

いずれにせよ、彼等には出会い、収入という明確なメリットがあります。コレなしにあらたな資源を差し出す人はいないでしょう。

システム化(自動化)できる

スケール(=爆発的な成長)を前提とするスタートアップの命題は「迅速にユーザを獲得し、喜ばせ、高利益を目指す」ことです。高い利益率を目指すには、売上を伸ばす一方でコストを抑えることが肝要で、自動化・簡略化が鍵になります。何を対象にするかというと、「自動化・簡略化できるもの全て」です。たとえば

  • サービス:オープンに参加できるプラットフォーム(アプリ・サイト)
  • システム構築:サービスが継続的に作動し、拡張可能
  • 報告体制:スタッフの責任と連絡系統が明確
  • 非常時の対応

などなど。

また、ユーザ側の負担を減らす意味でも、自動化・簡略化は大切です。AirBnbには大きく「1. ユーザ登録」「2. リスティング(物件掲載)」「3. 検索」「4. ホスト・ゲスト間のやり取り」「5. 支払い」のアクションがありますが、3.と4.を除いて、一度完了すればそれっきりです。場合によっては、4.も省略できるケースがあります。「いますぐ予約」というシステムで、あまり神経質ではないホストが、事前のコミュニケーション無しに受入れるオプションです。

非効率を抱える大手企業が存在する

さて、残る1つは絶対要因ではなく、バロメータです。

先の「満たされていないニーズがある」に関連するものですが、平たく言うと、需要があるなら、誰かが何かをしています。類似するサービスを提供する会社(特に大手)の存在は、一定規模のお客様がいる証明になります。

ポイントは、企業がお客様を満足させているのかどうか、です。お客様が大満足しているのであれば、割って入るのは難しい。逆に、大きな不満を抱えているのであれば、突破口になります。

まとめて考えると、長い歴史があり、投資規模が大きく、IT化が遅れる業界にはシェアリングサービスの割り込む余地が大きいように思えます。運輸業と観光業は最たるものかもしれません。

自動化は絶対命題だとして、代表的なシェアリング企業に、3つの条件を当てはめたものが下の表です。

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メルカリのケースでは、ヤフオクというライバルがいました。インターネットサービスの特性を活かしてリアル店舗を持たず、品数も豊富です。しかし、メルカリはモバイルを出発点としたので、出品プロセスの手軽さに注力したことが受入れられ、モバイル世代の若年層ユーザを獲得しました。IT化がなされている業界でも、攻め入って成功できることを示す好例です。

次は、日本とシェアリングサービスの相性について考えてみます。

共有経済③日本で定着しにくい大きな理由がある:インターンシップブログ

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