共有経済③日本で定着しにくい大きな理由がある:インターンシップブログ

シェアリング・サービスについて考えるシリーズ。1回目はコンセプトについて。2回目は成立要因について広げました。

共有経済①シェアリングエコノミーとは:インターンシップブログ

共有経済②シェアリング・スタートアップが成立する要因:インターンシップブログ

今回はすこし掘ってみます。

これまでの復習

シェアリング・サービスとは

特定ニーズを満たす資源を再定義して、有効に分配するサービス

シェアリング・サービスの成立要因は

  • 満たされていないニーズがある
  • それを解決する新たな資源が存在する
  • 新たな資産の提供者に益する
  • 自動化できる
  • (非効率を抱える大手が存在する)

でした。

これらは、国・サービス種類を問わずシェアリングという大きな枠内で抽出した、いわば基本原則みたいなものです。実際のケースにまで落とし込むと、特有のの要素が出てきます。

たとえば国民性。日本には日本の独特の、特筆すべき特徴がある、ということを考えてみます。

日本市場における有名シェアリング・スタートアップ

モノ

  • メルカリ(所有物全般)
  • Anyca(乗用車)

場所

  • AirBnb(宿泊)
  • スペースマーケット(イベント)
  • 軒先パーキング(駐車場)

  • タスカジ(家事)
  • キッチハイク(料理)

ほんの一例です。

圧倒的に知名度の高いメルカリについて、本社HPによると

“2013年7月リリース以来順調に成長し、日本でのダウンロード数は4,000万ダウンロードを突破、 1日の出品数は100万品以上、月間流通額は百億円以上と、日本最大のフリマアプリとなっています。”   https://www.mercari.com/jp/jobs/

2016年6月期の売上が122億円、当期純利益が30億円強・・・。数ある日本のスタートアップの中でも破格です。

日本人は、シェアに抵抗がある

しかし他国と比較すると、日本人はシェアリングサービスにあまり乗り気ではないようです。

一般のドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービスの認知度・利用意向(2016年各国)

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出展:総務省:シェアリング・エコノミーの認知度・利用率・利用意向

ライドシェアについて、認知度、利用したいと思う人の比率、ともに圧倒的に低いです。先進国だけではなく、むしろインドや中国といった成長国で注目を集めているようです。

この傾向、民泊ではどうでしょう。

民泊サービスの認知度・利用意向(2016年各国)

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出展:総務省:シェアリング・エコノミーの認知度・利用率・利用意向

ここ数年、民泊に関するニュースが増えたせいか、日本での民泊の認知度は、ライドシェアに比べて高い。しかし使ってみたいと思う人の比率はいずれ同程度。ネガティブな報道がされやすいように思えるので、報道されて認知はされるが、利用率の向上には結びつかないということでしょうか。

他にも「家事代行」「モノのシェア」「駐車スペース」を含めた全てのカテゴリで、認知度・利用意向・利用率、すべて日本は最下位です。いずれにせよ、他国に比べて日本はシェアリングに消極的だということです。

消極的な理由も明確です。

シェアリング・エコノミーのデメリット・利用したくない理由

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出展:総務省:シェアリング・エコノミーの認知度・利用率・利用意向

理由第1位・揉め事を避けたい

民泊やライドシェアを使わない日本人の過半数が「自己やトラブル時の対応に不安があるから」を理由として選択しています。面白いことに、韓国でも同じ傾向が見られます。でも、利用率は明らかに韓国の方が高い。真のリスク回避型の方が利用を避けているのでしょう。逆に日本人にはトラブルの可能性という不安要素が大きく働くようです。

理由第2位:餅は餅屋だとおもっている

圧倒的な1位と比べると薄い理由ですが、民泊やライドシェアを使わない日本人のうち4人に1人は「企業が責任を持って提供するサービスの方が信頼できるから」を選択しています。「サービス、かくあるべき」という強い観念を持つ人にとって、ノンプロのサービスはレベルが低いと感じるのかもしれません。

ところで、非常に興味深いのは、外国人の「この中にはない」選択率の高さです。例えば民泊を使わない日本人の22.7%が「この中にはない」を選んでいる一方、民泊を使わないイギリス・アメリカ・ドイツ人の40%以上が「この中にはない」を選んでいます。証明はできませんが、欧米ではシェアリングサービスの一般的な懸念を解決している、と逆に解釈することもできます。

ともかく、どうやら日本人には「知らない人と物を共有するのって、なんか怖いよね」という意識が強く根付いているようです。意識は刷りまれるものでもあるので、スイッチを切り替えるようにはいきません。

日本でシェアリングは流行らないのでしょうか?

そうとも限りません。すくなくとも、

特定ニーズを満たす資源を再定義して、有効に分配するサービス

という定義の上では、日本でも大きくなる余地がありますが、それは次回。まったく違ったアプローチで日本でも有名になったAirBnbと、メルカリを例に引き合いにして説明します。

共有経済④阻害要因を克服したケース:インターンシップブログ

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