共有経済④阻害要因を克服したケース:インターンシップブログ


??????2019-06-05

シェアリング・サービスについてのエントリー。これまでのエントリーは、こちらから:

シェアリング・エコノミー(共有経済)という言葉が脚光を浴びるようになって数年。「シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略」というベストセラーの影響も大きかったと思いますが、Uber(乗り物)・AirBnb(宿泊)・Taskrabbit(人手)などに続き、雨後の...
昨日のエントリーでは、AirBnbを例にシェアリングエコノミーの定義と、それが市場にもたらす現象について書きました。今回も、AirBnbを引き合いにして、シェアリングサービスが根付くための要因(どちらかというと、環境的な要因)について書きます。「共有」をキー...
シェアリング・サービスについて考えるシリーズ。1回目はコンセプトについて。2回目は成立要因について広げました。今回はすこし掘ってみます。これまでの復習シェアリング・サービスとは特定ニーズを満たす資源を再定義して、有効に分配するサービスシェアリング・...

とりあえず、今回で最終にします。これまでをまとめると、

①シェアリング・サービス=特定ニーズを満たす資源を再定義して、有効に分配するサービス

②成立要因:

  • 満たされていないニーズがある
  • それを解決する新たな資源が存在する
  • 新たな資産の提供者に益する
  • 自動化できる
  • (非効率を抱える大手が存在する)

③国・地域に特有の性質が存在する

  • 日本には「国民性」という阻害要因がある

ということでした。

なるほど長い歴史の中で培われた国民性というのはいかにも鉄壁で、難攻不落に見えます。日本企業でも成功は難しいのに、まして外国の小規模スタートアップにとっては異世界です。

しかし、日本発の成功例(メルカリ)もあれば、外国企業でありながら日本でもシェアリングの代名詞になった企業(AirBnb)もあります。

これら企業は、国民性という高い壁をどう捉え、対応したのでしょうか。僕なりに考えてみます。

ホーム(日本)でやることを厳選する:メルカリ

立ち上げの時点で、勝てる分野・領域を吟味し、集中して賭けるという考え方です。

これから伸びるプラットフォームを探す

「PCだとヤフーが勝者で、もう絶対に誰も勝てなかった。これがスマホっていう新しいデバイスの上だったら、C2Cをやることで全然違ったプラットフォームが作れるかなと思うんです。」

出典:HRナビ – 1000万DL突破で躍進中! メルカリ創業者、山田進太郎がピュア”C2C”にこだわる理由

代名詞のような強いプレイヤーがいる業界でシェアをとるのは至難の技です。

ほぼ独占状態だったMicrosoftのInternet ExplorerがGoogleのChromeにシェアトップを奪われる、というケースもありますが、4年間かかっています。1つの事業にかける創業期のスタートアップには我慢できません。

未使用のリソースとモデルを検討する

「以前に日本で問題になったベビーシッターのマッチングサイトみたいなものがありますよね? あれも本質的にはC2Cですよね。事件が起こって運用が問題視されましたけど、本質的には求められているサービスだと思います。困っている人の助けになる、あまった時間をお金にするのを個人間でできる。これは広義のシェアエコノミーです。」

出典:HRナビ – 1000万DL突破で躍進中! メルカリ創業者、山田進太郎がピュア”C2C”にこだわる理由

 

初回で定義した「特定ニーズを満たす資源を再定義して、効率的に分配する」は、上記の「あまった○○をお金にする」という広義のシェアリングエコノミーに近いです。メルカリはおそらく数あるアイデアのなかで、個人の不用品という資源に注目したサービスです。

シェアリングは日本人にはハードルが高いと書きましたが、これは、「知らない人と時間・空間・モノを共有する」という狭義のシェアリングにおいてです。しかしフリマは、物品の個人間売買です。所有権が移動するだけなので、時間や空間の共有よりはハードルが低い。

シェアリングをC2Cまで枠を広げて考え、かつPCからモバイルへのシフトという時流を読んだ上でフリマを選んだということなのでしょう。

攻略不可能な領域ではなく、自分たちが勝てるところを定める。言うのは簡単ですが、見極めは難しい。日本市場だけでも、FRIL, minne, Shoppies, ラクマのようにライバルがいます。仮に日本市場を獲ってもそこで終わりではありません。ご存知メルカリは、これまで数々のスタートアップが挑み、弾き返されてきたアメリカにも挑んでいます。

アーリーアダプタを触媒にアウェイ(日本)に乗り込む:AirBnb

主戦場である欧米で勝ち得たリソース(特に一部ユーザ)を介して日本を席巻するというやり方です。

AirBnbとFacebook。両サービスともそれぞれ「日本人は外国人と一時的なルームシェアをしたがらない」「実名SNSは日本で受入れられない」という下馬評を覆した例です(後者はシェアリングではないですが)。

彼等が獲得したリソースは、資金だけではありません。

日本とコネクションを持つ、外国人ユーザ

日本の大学生はInstagramに傾倒していますが、Facebookのアカウントも持っている人は多いのではないでしょうか?

理由の1つは、外国人とのつながりです。海外旅行で知り合った人や、クラスにいる留学生とFacebookで友達申請をする・・・こんな感じで、Facebookは日本に特別なプロモーションをかける前から一定数の日本人ユーザを獲得していたはずです。

2013年の春、銀座周辺のAirBnbホストの過半数は欧米の方でした。レビューを見てみると、ゲストも欧米の方が圧倒的に多かったです。AirBnbもFacebook同様に、日本法人の設立前に日本と関わりがある外国人ユーザを取り込んでいたのです。

日本人のアーリーアダプタ

バックパッカー・スタイルで世界を放浪する若者にとって、宿泊費を安く抑えることは死活問題です。カウチサーフィンのような無料サービスも面白いのですが、しかし寝床は確実におさえたい。

そんな人たちが初期日本人AirBnBユーザになりました。まずはゲストとしてサービスを体験し、その有用性を実感する。帰国後は自らホストに転じる、というパターンです。実際にサービスを受けたことがあるからこそ、ホストとしての心がけもできるでしょうし、日本人としての気配りやおもてなしを付加価値にすることもできます。今となっては、家賃収入目当てのプロ・日本人ホストも増えたでしょうが、黎明期のAirBnb日本のリスティングを支えたのは、先の外国人ホストと、日本のアーリーアダプターだったのではないでしょうか。

人的ネットワーク

日本で成功するには、やはり日本に精通した人材が必要です。海外のスタートアップで力を発揮でき、言語にもつよく、柔軟で、粘り強い。このような人材の確保は小規模スタートアップには難しいです。でも、爆発的に成長するユニコーンクラスの企業は、人も集まりやすいはずです(もちろんただ黙ってはいないでしょうが。)集まってくるのは社員候補だけでなく、投資家や、起業家も。このネットワークを活かして、優れたカントリーマネージャにリーチすることができるのです。

資金力を背景に強引に市場を切り開いた黒船のように感じられるかもしれませんが、僕が受けた印象は、少数派のアーリーアダプタに寄り添い、培ったノウハウで試行錯誤して、市場を地道に切り開いた、というものです。

2016年6月15日AirBnbが公開した日本に関するデータ(2015年)は、以下のとおり。

Airbnbコミュニティが経済活動で生み出した利益:2363億円

一般的なホストの収入:1,222,400円

一般的な物件の平均稼働日数:101日

ゲストの総数:1,383,000

ソース:AirBnb

2015年の訪日外国人が2000万人で、138万人がエアビ物件に宿泊したということは、単純計算で日本の宿泊場所の7%をAirBnbが供給した的なインパクトがあります。(いや、ほんとはもっと複雑だと思いますが。) 

メルカリとAirBnb。2つのケースを出したので、比較しているように見えるかもしれませんが、そうではありません。むしろ前者のケースで成功した後に後者のケースに移行する、流れのようなものと考えるほうが自然です。AirBnbにしても、最初はホーム(米国)でリソースを再定義することに成功したのちに、日本に進出したわけですから。

しかし、「まずはホームで勝て」と単純なことを言っているわけではありません。メルカリは随分早い段階でアメリカ進出していますし、最初から海外で起業する日本人もいるでしょう。

国によって「ホーム」の意味合いも変わります。日本企業にとってホームでの成功は、さらにアメリカ市場への足がかりになるかもしれませんが、アメリカの市場は日本よりも広く、競争も激しいです。

逆にアメリカをホームとして勝ち抜いたサービスが日本を目指すのは、拡張ではありますが規模は小さくなります。

さて、4回に渡ってシェアリングについて書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?体系的に学ぶというよりは、僕個人の見解を元にして、考えるべきポイントを提示したつもりです。詳しい人もそうでない人も、シェアリングについて少し考えるヒントになれば幸いです。

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