世界と対話したいなら、まずは日本のことを考えよう:インターンシップブログ

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日本語でも人と話を続けることが苦手という人にとって、海外の職場で外国語で話をしなくてはならない状況はハードルが高いものです。SSHPの研修生にも同じことが言えます。

こんなことを書くと「英語が・・・」というリアクションがありそうです。確かに言語は意思疎通のための記号なので、記号の使い方がおぼつかなければお互いの考えを伝えることができません。しかし、それ以上に大切なのは、その記号をに乗せるコンテンツを理解していることです。特に自国に関することは。

昨日のエントリー「若きエンジニアたちが語る・スタートアップで働く理由」でエンジニアたちがキャリアについてとても興味深い話をしてくれましたが、一方的に質問していたわけではありません。向こうからも日本について沢山質問されました。

↓こんな感じで↓

Q:僕が子供の頃には日本製の家電が溢れていて、日本ブランドは憧れだったんだけど、最近勢いのある日本ブランドってあまり聞こえてこない。なんで?

A:ポイントは2つ。

まずはハードウェアについて。日本の企業は価格競争で苦戦してる。日本の消費者は品質に対して極端に厳しく、高機能を好む。それに対応した日本製品の圧倒的な品質は世界で絶賛された。でも1つの性能の進化に対する市場価値は、いずれ鈍化し始める。そうこうしているうちに技術はコモディティ化され、より廉価な製品を作るライバルが台頭してきた。

もう一つはハードからソフトへのシフトに遅れたこと。「一台販売して儲けがいくら」というハードウェアの世界で成功した日本企業にとって、多くの機能を無料解放して、大量のユーザーを取り込み、プラットフォームを築いて多角的に利益を生むという方法は、日本企業にとって受け入れがたかった。目を背けたくなるビジネスモデルだったのかもね。

Q:日本でもiPhoneやMacbookは流行っているんだよね?優秀な日本メーカーが国内にあるのに。

A:Appleが賢かったのは、ソフトをハードの両方をおさえたところ。日本で一般的にAppleが認知されたのはiPodが最初。それまではSonyのWalkmanが圧倒的なシェアを誇っていた。そのWalkmanも例に漏れず高機能化を進めていたけれど、カセットテープ→CD→MDという、物質的な媒体を通すというスタイルは変わらなかった。AppleはシンプルなiPodという音楽の箱と、iTunesという音楽プラットフォームで日本に切り込んだ。アメリカでiTunesの浸透に成功したAppleは、iPhoneを発表した。日本に上陸したのは1年後くらい。日本のアーリーアダプターが痺れをきらして待つのと同時に、Macbook Airはカッコいい、しかも日本メーカーのハイエンド機に比べて安いということで火がついた。もちろんどちらの端末でもこれまでに育ててきたiTunesのコンテンツを活かせる・・・。こんな具合だね。

Q:日本でSpotify(世界的に人気の音楽ストリーミングサービス)はどうなの?

A:Spotifyはまだ日本上陸の準備中で、なかなかローンチしない。僕も待ってるんだけど。特有の音楽業界があってね、とくに利権を管理する団体とか、配信事業者がなかなかGoを出さない。とにかく彼等はCD隆盛時代を知っているからね。

Q:Appleが行けたのにSpotifyが手こずる理由は?

A:世界の音楽を握っているメジャーレーベルは日本のローカルマーケットでは支配的な影響力がない。それに、iTunesはDLに毎に課金するモデルで始めた。比べてSpotifyは大勢の無料ユーザーがストリーミングすることになるので、アレルギー反応が出ちゃうのかな・・・。

 

・・・たくさんの事象に関して普段から考える習慣をつけていると、ランダムな質問にも対応できます。他にも政治や経済、宗教など、トピックはいろいろあります。参考:海外に住みたい学生におすすめする日本の知識と教養:インターンシップブログ 

いろんな話ができると、そこから派生して盛り上がります。疲れるし、英語だと集中力も余分に必要ですが、興味を持って聞かれた質問に答えられることは、嬉しいものです。

まずは今日のニュース1つに対して考えを巡らせるところから始めれば良さそうですね。