生産性を飛躍させる仕事の段取り「フレーミング」:インターンシップブログ


弊社プログラムSingapore Startup Hack Program (SSHP)では50名近くのインターンに延べ400時間のレビューを提供しています。

(更新:2018年10月更新)

インターンが抱える悩みはそれぞれですが「なにから手を付ければよいか分からない」という課題は全員に共通します。

インターネットで検索しながら、自分は今何やってるんだっけ?と状況を見失い、やる気を無くすパターンにハマってしまうのは珍しくないです。

手当たり次第にやってみるという方法は、大体うまくいきません。簡単なミッションなら力技でなんとかなるかもしれませんが、大きな調査、複雑な仕事に闇雲に取り組むと、作業の波におぼれてしまいます。

テンポよく、効率よく仕事を進めるのは才能(センス)だと考える人がいるかもしれませんが、これは誤解です。

必要なのは、仕事(あるいは勉強)に向かう技術を知って、身につけることです。

弊社ではこの技術を「フレーミング」と呼んでいますが、SSHPでは徹底してフレーミングを実践してもらうことで、結果的にインターンは数倍の仕事量をこなすようになります。

仕事にかぎらず、何かを始めたものの途中で頓挫しがちな方のために、フレーミングの方法を説明します。

フレーミング=タスクの全体像を可視化する技術

フレーミング(framing)の語源であるフレーム(frame)は、「枠」「枠組み」を意味します。仕事の枠組み=段取りです。

仕事に限らず、物事には段取りがあります。

例えばシャワーを浴びるとき、脱衣して、浴室に入り、蛇口をひねり、水温を調節して、頭を洗い、身体を洗い、タオルで拭く・・・といった流れがあります。

これも段取りです。もちろんこの段取りを意識する人は少ないでしょう。シャワーを浴びるという行為は日常であるため、プロセスは刷り込まれているからです。

一方、インターンとして初めての仕事に取り組む状況は、街の銭湯しか知らない江戸時代の町人が現代にタイムスリップして、ユニットバスでシャワーを自分で浴びてみろ、と言われることに近いです。そりゃ戸惑いますよね。

迷わないように自分が担当するタスクの目的・やるべきこと・方法・かける時間などを明確にする。そして時短を節約する。これがフレーミングの実体と、その目的です。

出典:Prepared Slides合同会社

フレーミングの構成

まず紙とペンを用意します。紙は横書きにつかいます。

上部に2本横線を引き、「目的」「ゴール」と書きます。下部を3分割するように2本縦線を引き、それぞれのセクションに「前提」「工程」「メモ」と書きます。

出典:Prepared Slides合同会社

それぞれのセクション、特に1〜4を埋めることでフレーミングは完了します。

大原則:フレーミングは手描きで

フレーミングの基本ルールは、手描きすること

上の図は説明のためにパワーポイントで作りましたが、デジタル機器でフレーミングするのは超絶難しいです。僕はムリだと思っています。

理由は、自由な発想を妨げるからです。パワポで作業を始めると「キレイに仕上げたい」気持ちが湧きます。これに気を取られると、思いつくままに書き出すのが難しくなります。そして一度データとして出来上がると、なんとなくそれが良いものに見えてしまい、修正をためらってしまうのです。

こんな感じで、大胆に手描きしましょう。

SSHP研修生によるフレーミングの作例

ポイントは、書きなぐることです。そして、ノートを大きく使うこと。重要だと思ったら印をつけたり、不要なら線を引いて削除したり、関連付けたければ矢印をつかうのもいいですね。

間違ってもキレイにつくろうとしないでください。

1.目的を明確にする

さて、いよいよフレーミングをはじめます。第一歩は、何のためにこのタスクが存在するのか、極限まで明確にすること。

そんなの当たり前じゃん、と思われるかもしれませんが、意外にできないものです。SSHPの序盤で「それ何のためにやってんの?」と質問されて、自信を持って即答できる研修生は少ないです。

例えば「企業Xについて調べよ」と指示されたとします。数年来の付き合いがある上司ならまだしも、会ったばかりのスタートアップの指示で、このまま調査を開始するのは危険です。

意図がわからなければ不明確なまま進めるのではなく、正直に「何のための調査ですか?」と確認しましょう。

以下の例では、「提携先(パートナー)を選ぶために、X社について調査する」が目的です。

出典:Prepared Slides合同会社

目的は「○○のために、◻◻する」というふうに、アクション(動詞)で表現するよう心がけて下さい。

2.ゴールを設定する

「目的」と「ゴール」は似た響きがありますが、区別しましょう。

ゴールとは、達成(完成・終了)したらその仕事(タスク)が完了するアクションのことです。

スポーツに例えると分かりやすいかもしれません。目的が「ゲームに勝利する」だとしたら、以下のようなゴールが考えられます。

  • 90分後のホイッスル時点で、相手より多くの得点を獲得している(サッカー)
  • 42.195kmを誰よりも早く走り切る(マラソン)
  • 3セットを先取する(テニス)

では目的が「英雄になるために、ゲームに勝利する」だとしたら、どうでしょうか?

  • 後半のロスタイム中にハットトリックを達成して逆転し、試合終了のホイッスルを迎える(サッカー)
  • 42.195kmを世界記録で早く走り切る(マラソン)
  • グランドスラム決勝でトップランカーを相手に1ゲームも与えずに、勝利する(テニス)

目的が具体的になるにつれて、ゴールもより具体的になります。

企業調査のケースなら、こんな感じになるかもしれません。

出典:Prepared Slides合同会社

なんて言われたら、馬鹿みたいに聞こえるかもしれません。

でも間違いではありません。「知りたい内容を箇条書きにして、それぞれに回答する」ことを完了した時点で、このタスクは完了し、目的は達成されるからです。

もちろんこれがベストと言うわけではありません。実際の作業に入る前に、知りたい内容を上司に確認(できれば提案)するべきです。例えば、「X社の商品ラインナップ・製品戦略・チャネル戦略をまとめる」など、可能な限り具体的にするべきです。

ちなみに、ゴールはかならず「○○する」というアクションで表現します。

3.前提条件を書き出す

さて、ここからはタスクの性質によって変わってきます。

仕事には、納期を始めとした制限がかけられています。無制限の仕事はないと考えてください。資金力、体力、営業力、商品力、親会社との関係性など、状況を限定する要素をわかる限り全て書き出してましょう。

出典:Prepared Slides合同会社

上記に挙げたのは、一般的な条件です。タスクによっては非常に特殊な前提条件もありえます。

4.タスクの性質に応じて工程(項目)を判断する

フレーミングで最も迷うポイントが、ステップ4の工程(項目)決定です。

なぜかと言うと、これまでのステップ1〜3の方法は全課題共通ですが、ステップ4(工程・項目)は、課題の性質によって内容を選ぶ必要があるからです。暫定的に、以下のパターンに分類することにしました。

出典:Prepared Slides合同会社

a. Sort (分類する)

すでに持っている情報の比較・分類は、あらゆる局面で大切なタスクです。

分類するためには、まずリストを作ります。そして、比較対象の軸になる基準を書き出す。。これだけです。

出典:Prepared Slides合同会社

基準が決まってない場合は、4dの例にならって、別紙にブレインストーミング(とにかく書き出す)を試してみてください。

b. Plan(計画する)

フレーミングによって解決できる大きな問題の1つが、実行計画です。

SSHPでは、地元企業とのコラボイベントを企画、実行したインターンチームがありました。決まっているのは、決行の日時だけ。フレーミングを組み上げた計画は以下のようになりました。

出典:Prepared Slides合同会社

工程は、今現在から実行までのアクションを書き出すことで完成します。文字通りアクションプランと呼ぶこともあります。コツは、全てのステップを動詞で表現することです。

これらを漏れ無く書き出したら、それぞれに何日かけるか決めます。納期が定まっていない場合は、なんとなく決めちゃってOKです。

c. Identify(見つけ出す)

見つける、というのもかなり頻繁が高いタスクです。主にGoogle検索に頼ることになりますが、全ての検索結果を確認するのは不可能です。こんな時もフレーミングを使いましょう。

シンプルです。答えたい疑問を箇条に書き出して、それぞれに回答するための参照ソースを決めます

出典:Prepared Slides合同会社

それぞれのソースにどれほどの時間をかけるか決めます。自分自身に目一杯プレッシャーをかけてください。

d. Generate(ひねり出す)

4種類のうち、得意不得意が顕著にあらわれるのが「ひねり出す」という作業です。

ちなみに、「見つけ出す」には「正解」があります。未公開企業の売上高など、非公開な情報を探したい場合、アクセス方法が無く入手不可能な場合はありますが、それでも答えはあります。

一方で「ひねり出す」には想像力が物を言います。そして、多くの場合、模範回答はありません

最も単純な方法は、ブレインストーミングです。要は思いつくままに書き出す、ということです。書き出す際に、もっともらしい、馬鹿馬鹿しいなどジャッジすることは避けましょう。ブレストに専念して下さい。

出典:Prepared Slides合同会社

上記は、フレーミングのパターンを書き出すときに使ったブレストです。手書き文字が酷いのは許してください。

結局この通りにはいきませんでしたが、それでいいのです。多くのトライアルを経て、現在の4分類にたどり着きました。もちろん改善の余地はたくさんあります。

ともあれ、4が終了した時点で、フレーミングの山を越えたといえます。自分が描いた設計図どおりに実行しましょう。

5.作業しながら、必要に応じてメモする

タスクに取り組んでいる最中に、いろいろ気付くことがあります。そこで使うのが「メモ」セクションです。例としては、以下のようなものがあります。

出典:Prepared Slides合同会社

基本的には、フレーミング中には気づかなかった、新たな発見(切り口、確認事項など)をメモしましょう。繰り返しますが、メモ、作業中に記入するセクションです。作業開始前に記入できるものは、「前提」か「工程」セクションに帰属します。

6.清書する(オプション)

工程をきめて、作業を完了した。ここでようやく清書です。

納品(社内であっても)を伴う仕事であれば、清書の必要があります。清書の目的は、簡潔に伝えるためです。ゴージャスでファンシーな見た目にするためのものではないと覚えておきましょう。

出典:Prepared Slides合同会社

ところで、清書はフレーミングの一部ではありません。あえてこのブログエントリーで、メールや報告書の書き方の説明はしません。別に機会にしていただければと思います。

おさらい

長い記事になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?

フレーミングとは、言い換えれば航海地図のようなものです。出発前に動機(1.目的)と終着点(2.ゴール)を明確にし、現状(3.前提)を把握し、航路(4.工程)を選定し、航海中に考察(5.メモ)するというものです。

一応のガイドラインとして4.工程についてパターン分けをしていますが、正直なところ、個人的には満足していません。より自分に合う方法や、効率がいい方法があればそれを編み出して欲しいですし、教えて欲しいとも思います。

2018/12/2追記:フレーミングの前半部分(目的とゴール)は不変のフォーマットですが、その下は、わりと自由です。生徒による作例でも、下部は「Tool」「工夫する点」「Why」とされています。問題ありません。

慣れればなれる程に、下はフリーライティングになります。

本エントリで使用した図はこちらのスライドにまとめました。ご意見があればご連絡下さい。