SSHP研修生リポート「リモート職場環境の難しさ」:インターンシップブログ

オフィスを持たないスタートアップは割と多く、SSHP第5期の受入企業3社のうち、2社はリモート環境で働いています。無駄な通勤時間がなく、仕事の時間を自由に設定できる素晴らしい環境ですが、難しさもあります。3期連続でSSHPホスト企業になってくれているTrabbleに所属する研修生、木谷百花さんにポイントをまとめてもらいました。

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私が配属された、Trabbleという企業のワークスタイルは、独特です。納期を守れば、どこでどんな仕事をしようが自由で、毎日オフィスへ行く必要はありません。完全に自由裁量なので、言ってみれば好き放題できる有難い環境ですが、私の場合その壁にぶち当たりました。

同僚・上司によるプレッシャーが無い

一つ目の壁はオフィス勤務であれば普通にある「強制力」が薄いことです。毎日オフィスへ行く習慣があれば、仕事のオン・オフは自然に作られます。しかしTrabbleの場合、オフィスで働く習慣がないので、自分で仕事時間と余暇時間を区切る必要があります。私は滞在中のホステルやカフェでやっていましたが、ホステルはオンモードに切り替えるのが大変だし、カフェは滞在できる時間が限られています。もちろん設定された開始時間もないので、自分で仕事スイッチを押さなければなりません。

 それに一人で黙々と作業するのもなかなか大変でした。上司の目線を感じて強制的にスイッチが入ることもなければ、同僚の仕事ぶりを見て焦りが生まれることもありません。何もしなくても、何も言われないので、グダグダした時に、自分で自分を調整するのに苦労しました。最初の一週目は、やる気でカバーできましたが、二週目に入ると、徐々に気持ちがだれていきました。やる気はあるのに、身が入らない、作業の質が悪くなるという状況に陥り、そのもどかしさに、どう対処していいかわからず、SSHPコーディネーターのヤスさんに相談しました。

そしてその時頂いたアドバイスが25分サイクルです。たとえやる気や体力が100%であっても、25分働いたら、必ず5分休憩を取る、というものです。それまでの私は、元気があると、休憩を入れずにいつまでもやり続けていました。しかしその進め方がネックとなり、長期戦になるにつれ、ダラダラしていきました。そのサイクルを実践することで、こまめに休憩を取り、気がついたら作業の質や体力が落ちている、という状況を回避することができました。今はその改善策のおかげで、もどかしさを感じることなく、常に集中して仕事ができています。またその日のto doを細分化して、25分区切りのスケージュールを組むことで、強制的に働く環境をつくり出さなくても、仕事スイッチを押すのは簡単だし、誰かの視線がなくても、グダグダすることがなくなりました。

少し別の話になりますが、やる気が出ない時は素直に諦めるしかないということも学びました。今日は休むべき日、と全力でリフレッシュ時間に当てた方が後日の生産性に大きく影響します。やる気がないのに無理にやっても、ほとんどが無駄な時間だと思います。それよりも一番大切なのは、やる気があるときにいかに最大限の成果を出せるかだと思いました。

コミュニケーションが不自由

二つ目はすぐに話ができないという壁です。上司が側にいないので、いろんな気を使う必要はないし、ベッドの上で仕事をしても、誰も何も文句は言いません。しかしそこに大きなリスクがあることを学びました。近くに上司がいれば、やっていることの目的を見失ったり、ちょっとした違和感を感じたりしても、すぐに相談し、解決することができます。決して道を間違え続けることはありません。しかしTrabbleのワークスタイルでは、すぐに解決できません。タスクの目的を見失ったり、小さな違和感を感じたりすると、まず自分で解決しようとします。そもそも解決しようと一人で彷徨う時間が無駄です。そしてそのたどり着いた解釈が間違っていた場合、間違った道を歩き続け、一日二日は簡単に無駄になります。

彷徨う時間を減らし、間違った道を選ばないために一番大切なのは、その目的とゴールを必ずその場で聞いて、確認することです。特に答えの出ないタスクの場合は、自分の中で目的とゴールを明らかにしないと、永遠に作業が終わりませんし、納得のいくものは一生出てこないと思います。どこまでやったら成果物と見なすのか、線引きをする必要があります。それ関して、ヤスさんに教わったobjective(目的)とgoal(最終型)を明確にする「フレーミング」がとても役立ちました。特に、道筋が頭の中でなんとなくイメージできている時こそ、進む道を間違えやすく、フレーミングの効果が一番発揮されると思います。

また作業中に違和感を感じたら、すぐに連絡を取り、確認すべきだと思います。大抵すぐに解決しますし、連絡を取る一瞬の躊躇いと、道を間違え続けた二日間を比較して、私はすぐに行動するよう心掛けてます。

環境と費用

  最後の壁は作業場選びです。私はほとんどの作業を、ホステルかカフェで行なっています。ホステルは基本的にオフの場なので、カフェを中心に作業しています。しかしそこにも意外な落とし穴がありました。カフェ選びです。Wi-Fiが使え、電源が取れ、長時間居座れるカフェでなければ作業できません。例え条件が揃っても、ホステルから遠すぎたら意味がなく、最適な作業場を探すのに時間がかかりました。また毎日カフェへ行くので金銭的な面でも苦労しました。

   オフィスで働くのなら、その心配は皆無です。カフェを探す時間も必要ありません。リモート環境のワークスタイルに、自分が予想だにしないところで、手間が掛かりました。

   今は気分転換の一環として、暇な時間に条件に合うカフェを探し、気に入ったカフェをルーティーンしています。また、気分が乗らない日に、新しいカフェを挑戦することで、良い気分転換となり、今ではこのワークスタイルをうまく使いこなせるようになりました。

 

   Trabbleの自由なワークスタイルにこれまで何度も苦しみましたが、その度にヤスさんに話を聞いてもらい、反省を繰り返しました。自由環境の難しさを実感すると共に、今まで苦手だった、”自分をコントロールするスキル”を少しは身に付けれたかなと感じています。

   また、本当に行き詰まった時に、今日の仕事は放棄!と振り切る勇気も持てるようになりました。自由にリフレッシュタイムを取れるのは、Trabbleの良いところだと思います。残りの日数、最大限の成果が出せるよう頑張ります。

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Trabble CEOにプレゼンする木谷さん(写真中央)