学生に仕事を依頼する理由と、その反省:インターンシップブログ

ありがたいことに、SSHP終了後にも関係が続く学生がいて、ふと思ったときに連絡したり、連絡を頂いたり、そしてお時間を頂いて会って話をすることもあります。

その中で、これまでに2人、SSHPの修了生に仕事を依頼しました。

1人は第1期の高柳くるみさん。もう1人は第3期の湯谷亮介さん。

結論から言うと、お願いしてよかったと思っています。が、思っているだけでは伝わらないので、この機会に考えをまとめます。

依頼した仕事の種類

A:高柳さんには、調査の仕事の一部を依頼しました。機密に関わる内容ではなく、しかし根気と集中を要するとても重要なパートをお願いしました。

B:湯谷さんにお願いしたのは、就活生のためになるブログの連載です。まとめを含めて9本書いて頂きました。

どちらもPrepared Slides合同会社として依頼するわけですが、仕事の性質は全然ちがいます。

前者は完成形が仕様書によって決まっていいて、内容ミスは許されない。そしてエンド顧客さまが待っているので、納期ミスの場合は、お客様から金銭的なペナルティが課せられます。

一方後者はスケジュール、トピック、構成など、基本的に自由です。待っているのは、僕だけ(もしかすると固定読者がいたのかもしれませんが、スケジュールを公開していたわけではないので)。

依頼する心境

SSHPはお金を払って参加する、プレミアム・プログラムです。参加者は、僕という人間や、修了生の口コミ・アドバイスを信じて対価を支払ってくれています。

会期中、僕は全力を尽くし、期間が終わればそれで契約は満了するわけですが、その後も何か力になれるならば、なりたいと思っています。

会って話を聞くというのも、その一環です(もちろん、僕が会いたいというのもあります)が、もっと何かできないかな、と常に思っています。

理想は「こういうビジネスを試してみたい」という修了生に手を貸す、場合によっては資金も入れて、一緒にまわせれば良いななと思うののですが、ざんねんながら未だこれには至りません。

そこで、僕は、SSHPとは異質なPrepared Slidesインターンシップの機会を設けています。

SSHPとはお金の流れが逆です。僕が参加者に報酬を支払います。

SSHPでの僕の立ち位置は、あくまでシンガポールのスタートアップと日本のインターンの間にはいるコーディネータですが、僕が提供する有償インターンシップの舞台は、僕の会社Prepared Slidesです。

だから、より踏み込んで仕事というものを体感してもらえる、と思い、仕事をお願いしています。

余談ですが、インターンでも頑張れば時給2500〜3500円を目指せると想定して、仕事を依頼しています。

依頼に伴うリスク

Aは、外部クライアントのための仕事の一部であるため「会社としての信用」という大きなリスクが伴います。

想定される最悪の状況は、引き受けたひとが逃げたり、あるいは納品物の品質が悪くて、納期に間に合わないことです。

なので、Aの仕事を依頼するときは、日程にある程度余裕を持って、不測の事態では自分が徹夜することでなんとかできる、という状況を作りました。

Bの一番のリスクは「僕個人のメンタル」です。納期が遅れても、会社が直接的な損害をこうむる可能性は低いです。しかし、僕のインターンに対する信頼度は下がり、結果、気まずくなって疎遠になるかもしれません。ナイーブだと思われるかもしれませんが、いやだなぁと思います。

加えてBには、記事が質が担保できないことや、SSHPのオーディエンスと必ずしも一致しない、というマーケティング的なマイナーリスクもあります。ですが、Bの連載は就活をテーマにしたので、大筋では問題ないだろうと考えました。

結果

最終期日に高柳さんに頂いた内容は、申し分なかったです。結果、別の種類の仕事を依頼することにもなりました。社会人になり、副業ができない立場になったのが残念なくらいです。

湯谷さんは、多くの就活生にとって参考になるコンテンツを書いてくれました。特に後半にはスタンスが明確になりました。なにより、絶対に僕にはかけないコンテンツです。

難しかったこと

繰り返します。結果に満足しています。二人にお願いしてよかったと心から思っています。

でも、全て順風だったわけではありません。

二人は学生であり、僕の昔のお客様であり、またSSHPでは僕は二人のコーディネータでもあり、仕事をこなしてくれるサプライヤーでもありました。

順調な時はそれでいいのですが、問題が発生した時に迷いが出るといけないので、僕は方針を決めていました・・・

仕事をしっかり褒めて、慢心を赦さない。

じつのところ、高柳さんも、湯谷さんも、慢心してしまうタイミングがありました。

高柳さんの場合は中間納品と報告のタイミング、この1回きり。

じつは納品物のできは、想定以上でした。もう少し軌道修正が必要かもしれないと思っていたのです。ただ、彼女が何気なくこぼした「簡単でした」という一言に、あぶないと感じました。

結果、見つけた表記の一貫性に関するほころびを指摘したところ、うまく説明できず黙り込まれ、気まずい空気になりました。

湯谷くんについては、度重なる納期ミス。そして、文章表現に関する度重なる僕のツッコミに対する投げやりなメッセージを受けたこともありました。

なぜ慢心する?

ふたりともリカバリーは早かったです。

きっとイラッとしたはずですが、感情を納めて改善に向ってくれたので、大したものだと思います。

僕は指摘して良かったと思います。そうなった理由を今この場で想像することができるし、二人はそのことを承知しているだろうからです。

任される意味を分かっていない

高柳さんの場合、納品物の出来は悪くなかったものの、自分が把握しておくべき内容に気が回っていませんでした。仕事がスムーズに進んでいるという意識があったはずなので、なおさら緩みがあったのかもしれません。

しかし、任せるとは、依頼者(僕)はそこに手を触れないということです。依頼者に迷惑をかけないよう、不備がある可能性について想像を巡らせる必要があるのです。

いやいや、そんなことまで大学生のインターンに求めるのは厳しすぎないか?

はい、厳しいと思います。でも僕が叱ったのはそこではありません、

「簡単でした」と言ってしまうメンタリティに対してです。この言葉は本人が思うよりも強くひびき、誤解される可能性がある。特に、それを言った後にマイナーなミスが見つかったりしたら、依頼者は「本当に大丈夫か」という疑念がわきます。

足元を見られている

湯谷さんには、本人は否定するかもしれませんが、ナメられていました。

僕は自分が世間的には何者でもないことを知っています。

一方で、彼はある意味スターです。誰が知る総合商社から内定をもらい、後輩から、大学から、そして内定先から引っ張りだこです。

日本の新卒マーケットにおいて、彼の市場価値は高いです。

だから、三顧の礼で向かえました。内容は一任、スケジュールは彼なり、報酬は彼が言う相場値にプレミアムを乗せ、一本目の納品時に報酬を一括払いと、考えられる限り厚遇しました。

コンテンツの質については口を出しませんでした。明らかにつながりが悪い箇所や、意味が通じない表現は訂正してもらいましたが、こちらで手が加えられるところはこちらで直しました。

しかし、予測できない忙しさに見舞われた彼は、納期を飛ばします。

待てども記事が届かず、結局僕が我慢できず、連絡しました。

忙しく生きていれば間に合わないことだってあるでしょう。

だから僕は、納期をミスを叱ったわけじゃないです。

サプライヤーが納期をミスし、依頼元がアクションをとるまで連絡がなかったことに、悲しさを感じました。

僕の再三の指摘に「そこまで指摘されるともう直します」と、ふてくされたと見做されかねないメッセージをよこしたこともありました。

同じような指摘を商社の人事や先輩に受けていたら、もっと我慢できたんだろうな、と思います。だとしたら、僕が足元を見られていた、ということになります。

反省していること

大きく、2つあります。

感情の制御

自分で言うのも悲しいですが、僕は性格が悪いところがあります。「簡単でした」という高柳さんには「そういうことをいうもんじゃないよ」の一言で済んだはずですが、僕は「え〜っ、本当にぃー、簡単だったぁ?」と意地悪全開トーンでした。気を悪くされても仕方ないです。

湯谷さんとは、LINEメッセージのみでのやりとりだったので、更に気を遣うべきでした。言葉を選んだつもりが、感情を全く削ぎ落としきれていない、あるいは感情を隠すために説明が長々としている・・・。即レスをやめて6時間の間をおくことで回避できたはずです。

説明不足

高柳さんには「トレンドを意識しながら進めて」と伝えていました。いま考えれば、この指示の出し方は下手くそです。

なぜかと言うと、完成形が見えず、受け手が想像で補う必要があるからです。「トレンドを意識するって何よ、どういうことよ?」となるわけです。

「中間報告では口頭でトレンドと内容説明できる状態になっておいて」と伝えるべきでした。

湯谷さんの場合も、そうです。執筆前に僕がお願いしたのは、読者にとって役に立つコンテンツを生み出すこと。これだけです。更に悪いことに、前半は最初はそれほど数字を意識しなくてもいいと言っていました。

しかし、これは矛盾しています。

本当に役に立つコンテンツは、ある程度の数字が見込めるのです。

数字を意識するように指示したのは後半のこと。それでなくてもSEOを考えるなら、そもそも初期段階でキーワード、トレンド、ライバルとなりうるブログなどを知っておく必要があるあはずで、おまけに彼は超絶忙しい。後半から実験するには遅すぎでした。

最後に

ここまで書いて、まとめに言いたいことは、やはり2人への感謝です。

勇気を持ってよく飛び込んできてくれたと思います。

そして、僕が知らないであろう点も含めて、よく工夫して作り上げてくれたと思います。

SSHPとその後で、僕がしたいと考えるのは、「考え方」「動き方」という一生使える武器です。

この次、挑戦者はだれでしょうか。

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