“Make, Pitch, & Ship” – SSHP第5期テーマ:インターンシップブログ


Singapore Startup Hack Program (SSHP)の現地研修の序盤、研修生は浮足立ちます。しかし最初の金曜日を迎えるころには、同一人物と思えないほど成長しています。

第5期もこのパターンは同じです。どこから手を付ければいいのかわからない初日から打って変わって、フレーミング(計画、段取り)の技術を身につけ始めます。直ぐに熟達するわけではありませんが、さすが吸収力が高い20代前半。成長は目を見張るものがあります。

SSHP過去3回は、全体テーマを掲げて、それを每日意識するように日々の振り返り(レビュー)を行っていました。

第2期は「可視化」。絶対にPCから始めない仕事方法。

第3期は「対話と逆算」。積極的にコミュニケーションを取り、情報を取得し、ゴールから逆算して工程を導く考え方。

日本語でも人と話を続けることが苦手という人にとって、海外の職場で外国語で話をしなくてはならない状況はハードルが高いものです。SSHPの研修生にも同じことが言えます。こんなことを書くと「英語が・・・」というリアクションがありそうです。確かに言語は意思疎...
日本の学生インターンがシンガポールのスタートアップで過ごす研修プログラムSSHP。狂騒の第3期が終わって参加者は次のステージに移行したこのタイミングで、参加者の声を掲載させて頂きます。まずは明治大学経営学部の2年生の湯谷亮介さん。 **********どん...

第4期は「抽象化」。具体的な事例から、一段上の汎用的な教訓に引き上げる思考。

SSHPの夜は長い。日中のミッションから開放された研修生たちはホステルに戻り、チームごとにコーディネータ(僕)とレビューをします。1チームにつき30分〜60分ほどを、15日間、毎晩。プログラムの醍醐味の1つです。さて、研修生とレビューを重ねるうちに、...

そして今回のテーマは、”Make, Pitch & Ship” = 「納品」。これまでを踏まえた、第5期に相応しいテーマです。

“Make”は作る、”Pitch”は説得する、”Ship”は納品する。全部動詞です。「作って、説得して、納品する」。

3週間は短いです。およそ学生は、自分に対する不安と過信が同居しています。心の何処かで「まぁ、何かできるだろう」と考えるフシがあります。が、一旦仕事を始めると現実に打ち返されます。調査の波に溺れる、立ち位置がわからなくなる、前提を取り違えてやり直し、会社が臨む発表ができずに組み直し・・・立ちはだかる現実の種類はそれぞれでも、ただ時間が過ぎてゆく、という点で共通しています。仕事に不慣れな若者が形を残すためには、状況を適切に把握し、最短で動き、最速で修正する必要があります。

前提:地図を作る

大前提は、アイデアに「とりあえず」Goサインが出ていること。何の前触れも無く作り始めるのはダメです。時間を無駄にするリスクが大きすぎます。

作業を始める前に、かならず「目的」と「ゴール」を明記したプロジェクトの設計図を作ります。これをSSHPではフレーミング(段取り)と呼んでいます。人に見せるためのものではないので、キレイに描き上げる必要はありません。ただし、他人に説明できる必要はあります。以下、研修生による作例です。

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第5期によるフレーミング例:かなり上手くなっています、ミスもあるけど。

SSHP期間中、フレーミングというキーワードを100回は口にします。誇張ではなく、少なく見積もった数です。6人それぞれに1日2回、15日間。これだけで180回。それほど重要なのです。このステップを飛ばすと、ほぼ失敗します。何のためにやってんだっけ?状態に陥ります。

Make:最短で70点をとる

スタートアップにおいて100点を目指すのは愚かです。理由は幾つかありますが、端的にいうと、時間がかかりすぎるからです。時間がかかると何が問題なのか。まず、ライバルに先を越されます。オンリーワンだからスタートアップだ!と言い張れるのは、想像力・危機感の欠如です。あなたが考えているようなことは、他の誰かも考えています。たとえばクラウドストレージと聞いて、どんな会社を思い浮かべますか?例えばiPhoneの写真を保存するために、AppleのiCloudがあります。でもそれだけではありません。この領域を狙う企業は、1つのCrunchbase(企業データベース)で検索しただけで、80社以上ヒットします(2017年3月現在。)この領域に、Amazon, Google, Microsoft, Appleなどビッグネームのみならず、零細企業も参入しているのです。スタートアップが100点を目指していたら、あっという間に駆逐されてしまいます。あるいは、資金不足で立ち行かなくなります。

だから、とにかく作ること。とはいえ、生焼けの製品を世に出すのはダメです。腹を壊したユーザは2度と寄り付かなくなります。だから、優でも良でもなく、最速で可を目指します。スタートアップの世界では、必要最低限の機能を備えた製品をMost Viable Product (MVP)と言います。MVPを作りましょう。

Pitch:説得する

Pitchとは、短いプレゼンです。SSHPの文脈では、企業の担当者に対する提案や報告です。MVPができたら、直ぐに報告すること。おそらくこの時点で、修正を迫られます。当たり前のことなので、凹まないでください。もともと70点を目指したわけですから、1発OKが出るほうが珍しいのです。むしろ、修正をかけられたほうがラッキーだと思ってください。会社側の意見が上乗せされているわけですから。

スマホアプリも頻繁に更新されますよね?100点の完成品を最初から目指す時代ではないのです。

Ship:納品する

出荷する。SSHPの文脈では、作った仕事が自分の手を離れて、会社に帰属するようになる瞬間です。企画して、練りに練って、説得して、修正を迫られて、リリースして・・・そうやって出来た70点の成果物。できればずっと自分の手で育てたいところですが、SSHPは3週間という制限があります。なので、できれば単発に終わらず、継続性、再現性があるプロジェクトをつくり、納品します。そして、社内の誰かが引き継げるように、ノウハウを形として残すのです。(日本に帰国後も継続して手伝うという、最高の事例もありますが、あくまで例外です。)

SSHP5期で納品する対象は、以下のようなものです(チーム・担当別)。

  • 日本での営業戦略の起点となる、実績作り
  • リッチメディアのコンテンツ作りとリリース
  • サービスのソーシャルメディア拡散プラン
  • 地元ビジネスとのコラボ企画

是非これら全てを実現してほしいです。仮に達成出来なくても、悔しいかもしれませんが、しかしそれも間違いなく血肉になります。成功するよりも価値があるかもしれません。でも、失敗を目指して前にすすめるはずがありません。なので逆説的ですが、絶対成功を目指してください。

Make, Pitch, and Ship.