大人を動かすお願いの仕方:インターンシップブログ

海外研修プログラムをきっかけに、学生の方々から相談をうけるようになりました。プログラムの終了生のみならず、薄い縁でFacebookで知り合いになっていた学生さんや、全く知らない学生さんからご連絡を頂くこともあります。

ご連絡を頂いたら、基本的にできるだけ何かしらフィードバックするようにしています。場合によっては直接会ってブレストしたり、企画書に助言したり、人を紹介することもあります。

大学生は特権期間です。態度とやる気を見せれば、無償で骨を折ってくれる大人がいます。

ただ、僕の場合は「基本的に」という条件がつきます。誰に対しても同様に応じるわけではないのです。何かしたい気分にさせてくれる学生と、そうでない学生がいるのです。

せっかく大人に声をかけたのであれば、効用を最大にしてほしいと思います。

社会人が快く力をかしてくれるようなお願いの仕方とはどんなものか?端的に言えば、礼儀ただしく、ていねいに接する、ということなのですが、少し細かく説明したいと思います。

動機を説明する

例:「シンガポールのスタートアップに話を聞きたいので、紹介してください」

どこの、だれに、どういった理由で話が聞きたいのか。それによって紹介する対象は変わってきます。シンガポール国立大学在学中に起業したシリアルアントレプレナーなのか、大手企業で経験を積んだ中年ファウンダーなのか、社会系か、教育系か、ファウンダーのみか、従業員でもOKなのか・・・。

訂正例:「○○の分野で起業を考えています。近い領域で活躍されているスタートアップの経営者と話がしたいので、お心あたりがあればご紹介頂けませんか?できればエンジニアがいいです。」

お願いは詳細であるほうが答えやすいのです。

これまでの努力を説明する

例:「起業家にインタビューしたいのですが、やり方がわかりません。どうやってコンタクトとったのですか?」

丸投げというか、考えることを放棄しているようにように感じます。

訂正例:「こういった起業家にあいたくて、ブログや会社ページからメールでコンタクトしたのですが、返信がありません。ほかに取れるアプローチがあれば教えていただけますか」

このお願いの仕方なら、「コイツ自分では何もせずに俺を利用しようとしている」という思われることはないでしょう。

くれぐれも、やってもいないのにやっていると嘘をついてはいけません。実際に自分で動いてみて、行き詰まったところで助言を求める、というのが本来のお願いの仕方です。

要点を絞る

例:「○○について事業計画を作っているのですが、レビューして頂けませんか?」

一見丁寧ですが、「何を聞いたらいいか分からないので、全部見て、必要なこと全部教えて下さい」と言っているようなもので、丸投げです。

訂正例:「事業計画スライド4ページ目の提携戦略について、A社とB社にコンタクトを取りたいのですが、両者は競合関係にあることが懸念されます。B社にかえてC社はいかがでしょうか?」

動機の説明と同様に、質問は具体的であるほど、フィードバックは具体的で有益になります。具体的な質問ができないということがあれば、ちゃんと練り込めていない証拠です。

すぐに返信する

連絡をうけて返信をしたっきり、何日も放置されるということが何度かありました。あまりに忙しくて返信できなかったと言い訳する学生もいますが、「今忙しいので改めて返信します」と連絡する時間が取れないとは、思えません。

結果を報告する

アドバイスをする側は、報告がないからといって怒ることはありません。善意や好意に見返りを求めることの愚かさをわかっているからです。実際報告を受けることはめずらしいです。

珍しいからこそ、報告を受けると嬉しいもので、この次もなにか出来ることがあればしてあげたい、と思うのです。

これら5つの要素、全て相手に対する礼儀についてなのですが、実はそれだけではありません。本人の実務推敲においても重要なのです。

  • 動機を説明する===>目的を設定する
  • これまでの努力を説明する===>問題点を挙げる
  • 要点を絞る===>注視する点を定義する
  • すぐに返信する===>機会に敏感に反応する
  • 結果を報告する===>クローズする

SSHPで重要視しているフレーミングに通じるものがあります。これらを無視して動くことは、礼儀を欠くだけでなく、闇雲な動きをしていることになります。文字にすると当たり前にきこえるかもしれませんが、実践レベルに落とし込めていた学生さんは、ここ2年半で数人。

若い人たちに対して、社会人は何か力になりたいと思っています。少しくらい不躾であったとしても手を差し伸べます。でもせっかくなら、差し伸べた手が活かせるように意識して動いてもらえると嬉しいです。