SSHPでは、研修生の日中の業務が終わると、チームごとに毎晩コーディネータとレビュー(反省会)の時間があります。1チームにつき短くて20分、長くて90分以上。
每日必要なのかと懐疑的に見る人もいますが、SSHPではレビューの時間をプログラムのメインコンテンツの1つと考えています。会社でたくさん学んだことを、宿に帰ってきたら熱いうちに打つ。そうしないと、鮮烈だった体験も過去のものとして忘れ去られるからです。
レビューの形式
日報を書く
研修生は15日間、欠かさず業務日報を書きます。その日の業務、自分のなかの小さな目標、結果、そして良かった点と反省点を、こと細かに書いてもらっています。
本来、業務日報は簡潔であるべきです。長いと文章は嫌われるからです。でも、SSHPでは日報をまとめるのではなく、逆に気付いたことや感想まで思いつくまま全部書きなぐるようにお願いしています。学生であるこの時に感じたことを記録しておいてほしいという想いからです。新鮮な記憶も時が経つと薄れてしまいますが、文書で残っていれば、読み返した時に初心を取り戻せます。
レポーティング(口頭で一日を報告) – 5分~10分
日報を乱雑に書きつけるだけでは「シンプルにまとめる」という大切な要素を逃してしまいます。そこで、対面レビューのはじめに、その日の出来事について口頭で簡潔に説明してもらいます。時系列・あるいは重要なことから順にレポートしてもらいます。
初日は詳細な説明をせずにレポーティングをはじめてもらうので、スムーズに話せなかったり、冗長になったりします。そこを経た後に業務日報とレポーティングの関連性を説明すると、2日目以降はレポーティングを意識しながら業務日報を書くようになります。仕事というのは一連で、意味があるものだとわかって気付いてもらいたくて、このような方式をとることにしました。
書きなぐっただけでレポーティングがうまくいくの?と思われるかもしれませんが、話をする前に直近の体験をアウトプット(=書く)するだけでも、整理に役立つものです。
達成できなかった目標を議論 – 15~30分
その日に立てた計画を完遂できるとは限りません。思いがけないイベント(たとえば、社外ミーティングに飛び入り参加する、など)で時間が足りなくなることもあれば、集中力が切れることや、段取り悪さあります。イベントについては仕方ない(むしろ喜ぶべき)として、集中力の問題や、計画の甘さ、不注意によるミスについては、その原因と解決策について深く追求します。イメージとしては
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>>> どうして集中力が切れるんだろう?
研修生:うーん、どうしてでしょう・・・。
>>> 切れたのは午前?午後?
研修生:午後です。16時くらいから。
>>> どんな作業してた?
研修生:調査結果をリスト化していました
>>> ノンストップで?
研修生:そうですね、14時くらいからずっと。
>>> フレーミング(段取り)から始めた?
研修生:はい。これです。
>>> なるほど、リスト化作業に3時間・・・どうすれば集中力を保てたと思う?
研修生:もっと、合計の時間を短くする?
>>> でも、力仕事で3時間はどうしてもかかるんだよね?だったらどうすればいい?
研修生:もうちょっと短く時間を管理する、とか?
>> お、いいね。25分集中して、5分は手を休める、とかどうだろう。
研修生:やってみます!
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なるべくコーディネータ側からソリューションは提示しません。するとしても、上記のようになぜ?なぜ?なぜ?と深掘りした後に、ヒントを出します。最終的には同じアドバイスにたどり着くとしても、いきなり提示されたのと、自分で近くまでたどり着いたのとでは、定着度が違います。僕の中では意地悪モードと読んでいます。
気になっていること – 5分~無制限
追求と検証の時間を経て、最後に「ほかに、気になることありませんか?」と促します。将来のこと、サークルのこと、アルバイトのこと、仕事のこと、英語のこと、性格のこと、なんでもありです。コーディネータの30年余の人生を総動員して、研修生と向き合います。本当に無制限というわけではありませんが、午前3時を過ぎることもよくあります。翌朝の体調を考慮すると必ずしも良い行為ではないのですが、まぁ皆さん若いので。
コーディネータのコメント
業務日報とレポーティングをもとに、個人に対して個別にコメントを書き込みます。主に改善のためのアドバイスを、口語体で書きます。箇条書きでもいいのですが、僕としてはコメントでも「語りかけたい」という気持ちが先走って、どうしても話し言葉になります。
毎晩、繰り返す
これが毎晩続きます。日中は会社で気を張って、夜もコーディネータに追求されて、研修生は本当に大変だと思います。でも、その日のレビューはその日のうちにしかできません。同じような失敗を繰り返さないように、少しでも思考を高め、行動を進められるように、辛抱強く、話し合います。
繰り返しますが、コーディネータとしては、これこそがSSHPのコア・コンテンツだと考えています。刺激を受けて、反芻して、翌日また刺激を受け手、反芻して・・・。
日本に帰国した後、充実感をもって過ごせるように、視界がクリアになるように。少しでもお手伝いができれば幸せです。