あるメーカーから頂いた市場調査の仕事が、最近完了しました。以降はお客様が販売戦略を立てて市場に仕掛ける運びになるのですが、お話を聞いているうちに僕も引き続きお手伝いできることがありそうな気がしました。期を見て追加提案を出すつもりです。
こんな話は遠い世界のことと感じるかもしれません。でもそれは、営業に触れる機会が少ないだけで、実は大学生にも身近に考えることができます。
僕はメーカーに勤めたことはありません。多国籍企業に勤めたこともありません。にもかかわらず世界市場を狙うメーカーに提案することができるのは、自分なりにモノを売ることについて考え、それを実践してきたからです。
今回のシリーズではモノを売ること、そして大学生に可能な実践法を書きます。
最初はシンプルに考える
営業やマーケティングには、確立された手法があります。それぞれ有用だとは思うのですが、僕は、初期段階ではこれらを考えないようにしています。無理して手法を使おうとするとそれに縛られ、使ったことに満足してしまうのです。
誤解なきよう書きますが、手法を無益と言うつもりはありません。役に立つから採用されているのです。ただ、難しいことが苦手な僕が、最初から使いこなそうとすると空回りするのです。
これを踏まえ、僕はモノを売るとき、買い手がお金を払う理由から考えて、必要に応じて便利な手法を部分的に応用する、という極めて単純なアプローチを取っています。
金を払うのは、満たされない欲求を埋めるため
お客様が対価を支払って商品やサービスを購入する理由は、それぞれが抱えるニーズを満たすためです。ニーズを満たすとは、問題を解決すると言い換えることもできます。
人のニーズと、それを満たす商品・サービスは実に多様です。
健康に気を使う人はサプリメントを使い、ジムに通い、医療で検診を受けます。知識が欲しい人は読書し、セミナーに通い、学校で勉強します。異性を惹きつけるために流行の衣服を着て、エステに通います。
ようは、ニーズとモノ・サービスの組み合わせは無数にあり、それぞれの分野で専門家が存在し、有償でお客様を満足させている、というわけです。
実際に買っているのは「時間」
組み合わせは無限ですが、共通点があります。多くのことは、金がなくても時間をかけることでおよそ解決できる。
異性を惹きつけるため、洋服を自分で作る。ビタミンを摂取するために、果物を育てる。
でも、欲求の全てを自らの努力だけで達成することは難しいでしょうし、効率が悪いです。日々の営みが「職業」で区分されている現代において、それは現実的なアプローチとはいえません。時間がかかりすぎるのです。
だから、欲しい物事を安価に短期間で提供できる法人・個人から製品やサービスを購入するのです。
餅は餅屋ということです。
できることを把握し、比較優位を見つける
困っている人の悩みを解決する・・・どこかで聞いたことがある商売の基本です。ただし、大学生にアドバイスする立場では、言葉足らずかもしれません。SSHPコーディネータとして、こう表現させてもらいます。
困っている人を特定し、自分が合理的に解決できる方法を提案する
世の中には困っている人で溢れていて、しかし我々は神ではありません。全ての困っている人の悩みを平等に解決するすることはできないのです。だから、相対的に自分が何が得意なのかを理解した上で、効率的に解決策を繰り出す必要があります。
僕は英会話学校で講師として働いたことがあります。しかしその地域で誰よりも英語や講義のスキルに長けていたわけではありません。日本の片田舎で「比較的」これらの資質があり、かつ直ぐに働く必要があっただけのことです。
できることを棚卸しして、その中から状況に応じて解決法を提示する。それが適切(合理的)であれば、お客様に選ばれるわけです。シンプルです。
人の思考(嗜好)は不確実
ただ、人は必ずしも合理的な判断を下すとは限りません。
悩める人がいて、自分はその人達の問題を解決することができる、しかも安価に、速やかに。
でも売れない状況があるのです。
オンラインショッピングで買い物かごに商品を入れたのに、結局買わなかった。フラっと入ったドラッグストアで思わずグロスを買っていた・・・誰しもこれに近い経験をしているのではないでしょうか。
その動機を考えてみて下さい。そして自分が商品を売る側の立場で対応策を考えるとなると・・・気が遠くなりそうです。
だから最初から考えすぎてはいけないのです。
まずは顧客と自分をベースに単純なアイデアを形にする。不確実性に多く直面し、対応策を練り、実行する。この段階でマーケティングのノウハウを試してみる。こんな流れが自然です。
まとめ
今回のエントリーは「モノを売ること」に関する当たり前のことを書きました。当たり前ですが、大切なことで、僕は何か始めるときにはここから始めるようにしています。
SSHPもこの成長過程を経ています。とはいえ、既にSSHPは事業化して5回を数えているいるので大掛かりに見えますよね。
次回のエントリーでは気軽にモノを売るために、僕が実践していることを書きます。お楽しみに。
10/11追記:
物を売る② – 海外で売る:インターンシップブログ