物を売る② – 海外で売る:インターンシップブログ

前回のエントリーではモノを売ることについての考えを書きました。

物を売る① – シンプルな考え方:インターンシップブログ

今回はフリマやオークションアプリを越えて実践可能なモノを売る方法 – ポップアップをご紹介します。

ポップアップとは

周知とまでは言えませんが、最近は「ポップアップショップ(ストア)」というカタカナをみかけるようになりました。期間限定のお店のことです。

海外ブランドが試験的に週間だけお店を開くような例もあれば、お祭りの屋台も広義ではポップアップと呼べます。

僕が実践しているポップアップマーケットは極めて簡易的で、テントどころかテーブルすら使いません。海外に出かけるついでに日本でモノを仕入れて持参し、それを現地で販売する。それだけです。

これまでに、ヘルシンキでコケシ、リトアニアでけん玉、スイスで使い捨てカイロを売ってきました。現地で費やした期間はそれぞれ3~6日間です。

なぜポップアップマーケットを勧めるのか

僕の場合は半ば趣味なのですが、大学生にこそ挑戦して欲しいと思います。メリットは数え切れないほどあるので。

どの道にあっても営業力は重要

自主性・グローバルな視点・論理的思考・行動力・・・企業が求めそうな人材像をあわらすキーワードです。海外でポップアップマーケットを開くことで、これら全ての言葉をカバーすることができます。起業を目指す人ならなおさら営業力は必要です。売れない会社は潰れてしまいます。

結果が出る

ポップアップマーケットの良さは、何を仕入れ、どう販促し、何が売れた(売れなかった)という、結果が明確に解る点にあります。上手く行っても行かなくても、具体的な経験(およびエピソード)を手にすることができるのです。

言い訳せずにすむ

どこかの会社で営業を始めたとして、自分が担当する製品が必ずしも気に入るとは限りません。それでも売れれば楽しいのですが、売れない場合は、品質が悪い、キャッチコピーが古臭い、ウェブサイトが使いにくい、上司が嫌いなどと他者を責めたくなります。しかし自分で全てを決めるのならば、無益な言い訳をせずにすみます。

ポップアップの開き方

それではポップアップを開く方法を説明します。順序は人によって異なるかもしれませんが、大枠ではこんな感じです。

前提

僕自身、ポップアップのために海外に行くことはありません。出張などの合間に時間を作り、実行するようにしています。なので、どの都市にどれくらい滞在し、どれほど自由な時間ができるのか・・・目星をつけて、戦略を練ります。

大学生の方なら海外旅行やバックパッキングのついでにいポップアップを試すことをおすすめします。ポップアップのためだけに渡航するのは、うーん。あまり気負いすぎると空回りしたり、失敗したときの精神的ダメージが大きいので、もののついで、くらいの感覚がいいと思います。

治安が悪い、あるいは規制が厳しい国ではやめておきましょう。

ちなみにSSHP会期中は禁止です。シンガポールは規制に厳しいですし、研修生にはプログラムに集中してもらいます。

仕入れる

行く場所、期間が決まったら、以下を考慮して仕入れる商品を決めます。

  • 市場性:そもそも、そのモノが行き先で売れるのか。
  • 収益性:前提で黒字を描けるか。

これら2つは大原則ですが、100%の回答を持っている人はいないので、あたりをつけるしかないのです。このあたりの付け方に個性が現れるので、ここでは書きません。

ちなみに僕自身は、市場性・価格の有意性にプラスして、以下のような傾向があります。

  • 携行性:重い物、大きなものは、個数を稼げません。小ぶりなモノを扱うことが多いです。
  • 耐久性:精密機械や精巧な細工品など、壊れやすいものは持ち運びにくいし、売りにくい
  • 斬新さ:海外の人が目にすることも少ないであろうモノにスポットを当てたいという思いが少なからずあります。それに行き先によりますが、Made in Japanの神通力が残っている国もあります。20年後はわかりませんが、いまなら日本製を打ち出すのは有効です。

僕の場合、仕入れ予算額は5,000~10,000円です。この程度なら気軽に試せます。

ウリを考える

前回書きましたが、人は問題解決のためにお金を払います。ですので、最終的にお客様が財布の紐を開く理由を考えて、それを効果的に伝える必要があります。あくまで、シンプルに。

思い起こすとガラケーの時代、家電やデジタル製品にかぎらず、日本のメーカー(あるいはメディア?)は詳細な仕様・スペックを重視する傾向がありました。しかし、スペックが実質を表し、消費者に響くとは限りません。

「1500万画素のカメラ」よりも「誰でも室内でキレイに写真が取れる」のほうが想像しやすいのです。最終的なキャッチコピーは練り込まれることがあるかもしませんが、ウリを考えるときは、本質からはじめましょう。

ちなみにヘルシンキでコケシを売った時のキャッチコピーの一つは「ロシアのマトリョーシカ、日本のコケシ」でした。

お客様との接点を決める

僕は街の広場からはじめることが多いです。特にヨーロッパの街の中心には噴水広場があり、住人の憩いの場になっています。これがベストな方法というわけではないのですが、のんびりした雰囲気で住人に話しかけるのは、丁度いい肝試しになります。

物売りモードで近づくのではなく、ベンチで世間話をしながら盛り上がりそうなら「ところでこんなの試してみない?」と切り出します。あくまで、世間話の流れで。

知らない人に話しかけるハードルが高ければ、オンラインで始めるのもいいかもしれません。Meetupなどで感心の高そうな人があつまる現地イベントに顔したり、Couchsurfingで個人的に現地の人と繋がったり、Facebookページに書き込むのもいいですね。

でも、最後には対面でお客様と話します。話すのも営業です。

まとめ

こんな適当な感じで良いのか、と思われるかもしれませんが、100点の戦略なんてありませんし、そもそも何かに合格するためにやるわけではありません。経験と、予想もつかない展開にワクワクするからやるのです。

僕の経験上ですが、コケシ20体、売り切りました。カイロは数個余ったので自分で使いました。

セールスの場は広場、ホステルのロビー、リゾートホテルなど、様々です。模範回答はありません。

最初の試みでバンバン売れるわけではありません。話しかける人を変え、内容を変え、比較を変え、値段を変え、売り場を変え・・・現地で時間が限られていると、あらゆる工夫を試したくなります。

その過程で頭と身体を使うことがポップストアの意義だと思っています。売利上げが伸びることよりも。

騙す気はありませんが、だまされたと思ってやってみて下さい。面白いですよ、ポップストア。

10/12追記:

物を売る③ – ポップアップのガイドライン:インターンシップブログ