経験は「抽象化」されてこそ価値がある:インターンシップブログ


SSHPの夜は長い。

日中のミッションから開放された研修生たちはホステルに戻り、チームごとにコーディネータ(僕)とレビューをします。1チームにつき30分〜60分ほどを、15日間、毎晩。プログラムの醍醐味の1つです。

さて、研修生とレビューを重ねるうちに、何となくモヤモヤ感じていたことが、スッと腑に落ちました。思考法としていろんな場面で役に立ちそうなので、シェアします。

身につかない現実

「英語が出来ないので勉強の仕方を教えて欲しい」とか「便利なフレームワークを教えて欲しい」といった質問を社会人・学生問わず良く受けます。意欲的な質問は基本的にウェルカムなのですが、あとで本人に確認すると全然身についていない、という人が多数います。

もちろん教示されたところでそれをモノにするかは本人の勝手なので「俺の献身(無償)を返せ」という気持ちにはなりません。ただ、そういう人たちは、共通点として「具体的なノウハウ」や「断片的な情報」を聞くだけで終わっていて、それが残念だなぁと思ってしまうのです。

具体的なノウハウは価値が低い

英会話やダイエット・・・世の中には情報やノウハウが溢れています。優秀なものから劣悪なものまでピンきりでしょうが、ノウハウ(手法)とは、それを忠実に実行すれば何らかの効力はあります。少なくとも著者はその方法で成果を上げているわけですから。

にもかかわらず、英語が上達しなかったり、痩せられない人が多い。

理由は明確で、「その手法が肌に合わなかった。そして、それしかやらなかった」これに尽きます。

手法だけ見て実行する人のパターンは、こんな感じです。「60秒の英語スピーチを完コピして、每日練習する」という僕の英語練習法を例に挙げると・・・

名称未設定

7日前:このやり方面白い、ちょっとやってみよ
3日前:めんどくさくなってきた
1日前:もういいや、英語とか無理だし・・・

身に覚えはありませんか?僕はあります。でも世の中は英語教材で溢れている事象を考えると、当然です。人それぞれ好みがあるわけで、ちょっと感銘を受けたとしても、最初の1つ2つ試したところで自分に合う方法が見つかるなんて、都合のいい話です。

ではどうするか。

抽象化されることで次のステップが見える

階層構造で考えてみましょう。

名称未設定2

手法を理解したら、直ぐにはじめるのではなく、ちょっと時間をかけてその原理(仕組み、基本的な考え方)をについて考えてみましょう。

英語の例では「自分の口から自然に出る単語やフレーズは、他人がそれを発した時にも理解できる。」という考えですね。具体的な要素を排除して、観念的に理解するこの作業を「抽象化」と呼びます。

さて、原理があるとは、応用(他の具体的な手法)が存在するということでもあります。「60秒の英語スピーチを完コピして、每日練習する」以外にも、自分の口から自然に出る単語やフレーズを増やす方法ある、ということです。

他にも選択肢があると理解した上で、手法を実行に移すのです。ある手法が自分に合わないと思ったら、次の手法に移ればいい。出来ないという前に、まずは全く異なる手法を10個くらいは試してほしいものだと思います。20個やってダメなら、100個挑戦するのか、それとも他の方向性を考えるのか・・・本人次第。いずれにせよ、沢山あるんだから1つで挫折しても「そりゃそうだ」と思えればいいわけです。

柔軟な思考をもち、階段を登っていく人は、物事を階層化(抽象化)して考えられる人なのかもしれません。逆に頭がかたい人は、1つの方法を唯一だと思い込んで固執してしまいます。たまたまうまく行けばいいけど、そうでないと頓挫する。

経験は、抽象化の優良素材

「知識だけの奴は使えない」という使い古されたフレーズ。何故使えないかというと、問題が起きた時の応用がきかないからです。気が利かない、というか、気がつかない。手元にある具体的な事象だけではなく、その1つ上のレイヤーを意識することで、とるべき選択肢が見えるはずなのに。

名称未設定

しかし、1つの具体的な情報から、上位レイヤーを導き出す簡単ではありません。だからこそ、沢山の経験が物を言うのです。様々な経験から帰納的に見出される原理、それが思考のレイヤーで、それを導き出せる習慣がその人の価値を飛躍的に高めます。

SSHP4期生には、「経験 → 考察 → 抽象化」を繰り返すことで、考えながら軽やかに効率よく動ける、人材になってもらいたい。そのためにローカルスタートアップと戦い、現地で働く日本人から刺激を受け、毎晩僕と対峙する、というプログラムを走らせています。

この3週間を通じてその入口に立ってもらうべく、コーディネータは今夜も意地悪を続けます。