スライドは、メッセージの発射台:インターンシップブログ


フランスの調査会社にいたころの話です。

クライアント向けのスライドを提出前に上司に説明するたび、ダメ出しされていました。

So…what?  (で、結論は?)

Too descriptive, not analytical. (叙述的すぎて、分析的じゃない)

当時はこれを求められる意味があまり分かっていませんでした。

でもいざ彼がクライアントを前に発表すると、バチっとクライアントにハマるのです。僕が発表すると、なんだかボヤッとしてしまうのに。

単純に経験とプレゼンスキルの差だと思っていました。実際それもあったのですが、スライドに対する考え方から、大きな差があったわけです。

独立して自分がリードしてリサーチを進め、プレゼンするようになってようやくわかり始めました。

言葉じゃ伝わりにくいので、先のプログラムでインターンが実際に作ったスライドを例に見てみましょう。旅行系アプリ会社からのミッションで、シンガポールに来る、あるいは居る日本人の数を調べた時のスライドです。

まずはオリジナルのスライドから↓スライド1

悪くないです。シンプルで見やすいです。

ただ、それだけに改善点が見えにくい分からないかもしれないので、そもそも論から説明することにします。

プレゼンの大目的

発表の目的は、意思決定者に見解を伝えて、アクションを取ってもらうことです。なので、情報をまとめただけでは「ふ〜ん」で終わります。

上司は全てを自分で考え、決断し、実行したいわけではありません。時間のない上司がの役割は、動くための見解を揃えてきた部下に対してGoを出す(あるいは再考を促す)ことです。

↑のスライドを使って発表しているシーンを想像してみます。

僕「これがシンガポールにいる日本人です!」

上司「うん・・・それで?」

僕「・・・観光客が沢山いて、駐在は少なくて、学生はごく少なくて・・・」

上司「うん・・・それで?」

ああ、冷や汗が・・・。

次にリバイズ(メッセージを追加)してもらったスライドです↓スライド2

作者はスライドのタイトルを「シンガポールにいる日本人」から「シンガポールに居る日本人の大半は短期間の旅行者である」に変えました。難しい分析ではありません。誰もが気づくことでしょう。

分析があると、主張につなげられる

でも、この分析をタイトルにすることで、自分の主張につなげやすくなります。

シンガポールにいる日本人の大半は短期の旅行者だ・・・

  • だから、多数派の旅行者ををターゲットにしたコンテンツを展開すべきだ
  • しかし、少数だがリピーターになる駐留者にフォーカスすべきだ
  • 1000人未満の学生をターゲットにするのは、効率が悪い

・・・のような展開ができるわけです。核心が見えているのであれば、この主張までタイトルに入れ込んでいいとも思います。そうでなければ、オーディエンスに2択、3択を促すようなこともありかもしれません。

主張があれば、強調もできる。

最初のスライドでは、棒グラフ全てが水色で示されていました。これでは何を推したいのかが伝わりません。でも、下のスライドでは例えば旅行者のバーの色を変えて、目立たせています。ここは、旅行者をターゲットにすべきという意見と連動します。

見解が違っても、生産的に話を進められる。

上司が納得すればバンザイですが、そうでなくても、建設的な話を展開できます。

僕「短期旅行者をターゲットにすべきです!」

上司「根拠は?」

僕「圧倒的多数派だからです」

上司「でもリピートしないよね。駐留者ってどんな人たち?」

僕「駐在員とその家族ですね」

上司「数は少ないけど、この層はリピしてくれるかもしれないよね。」

僕「平均的な駐在年数と家族構成、念の為に観光客がどれほどシンガポールにリピしてるか調べます」

・・・あくまで理想なんですけどね。

でも、オーディエンス・プレゼンター両方の気持ちになって、改めて2つのスライドを見比べて下さい。調べた内容は同じなのです。違いがあるとすれば、そこから一歩踏み込んだ分析をして、メッセージを伝えるだけ。これだけですが、大きな違いです。

ところで、あえて分析・メッセージを入れず、淡々と情報のみをまとめたスライドもあります。

でもそれはつまり、「ここにデータがあります。分析と決定はあなたにおまかせします。」ということですので、ならばエクセルで事足りるような気がします。

どうせ調べてプレゼンするのであれば、行動を促すような資料を作りたいものです。