SSHP第6期は先週からオンライン課題を始めています。
第1期からつづくオンライン課題ですが、6回目にしてかなり方向性が定まってきました。
まずは第6期の皆さんに対して、そしてこれまでに参加してくれた修了生たちに向けて、僕が何を思ってオンライン課題を作り、コメントしてきたのか、説明いたします。
ちなみに第5期の準備をしていた1年前も、オンライン課題に関するエントリーを書いていました。
歴史は繰り返すものです。
最終更新日:2018年7月21日
オンライン課題とは
忘れてしまった人のために、おさらいします。
オンライン課題は、SSHP参加者が渡航前に取り組む課題です。合計15問、一日一問のペースで出題されます。
設問の種類は、スタートアップや業界に関する調査(たとえば、〇〇社の特徴は?ビジネスモデルは?)、自己紹介、仕事で使う英語表現、ロールプレイなど、多岐に及びます。
全ての設問には、長くて30分、短かくて15分くらいの制限時間 を設けています。
解答に対して僕が個人的にフィードバックし、翌日に全体的なコメントをする、という流れです。
目的
オンライン課題を課す理由は、仕事をする上で重要なポイントに気付いてもらうためです。
会社側が期待する仕事と、インターン生が事前に持っている仕事のレベルには、大きな溝があります。これは仕方がないことです。日本の学生は仕事を考える機会が充分には与えられていないですし、日本の企業もそれを前提に新卒採用をしているはずです。
しかし、SSHPの受入企業はシンガポールの現地スタートアップです。日本の学生に慣れている企業もありますが、目線を下げて容赦してくれるわけではありません。
だから、渡航前の段階で、なるべくマインドをスタートアップよりに切り替えて欲しいと思うわけです。
オンライン課題に取り組むことで得られる具体的な効用は、時間に対する意識づけ。そしてコミュニケーションの難しさを知ること。この2つです。
時間に対する意識付け
しかし信用は、小さな約束を連続して履行する人に与えられるもので、また簡単に損なわれるものでもあります。
聞いたことはありますよね?でも、実際に多くの人が、軽い気持ちの緩みから信頼を損ねるようなています。
納期を逃した者に、クライアント企業は戻ってきません。社内であっても、納期ミスを頻発する社員にプロジェクトは周ってきません。
とはいえ、学生だって忙しい!という人もるでしょう。
確かに、一人ひとりの細かな事情はわかりませんが、皆さんが総じてお忙しいことはわかっています。
それを踏まえて、SSHPのオンライン課題は1日1問、30分未満に限定しているのです。どれほど忙しい人でも、本気で時間を管理すれば30分が取れないとは考えにくいです。
そこも含めて、自己判断です。
工夫を促す
ところで、制限時間では足りない、という人は多いと思います。
オンライン課題は、頑張れば制限時間内に何とか形にできる程度を想定して設計しています。
多くの人にとって、まったく知らないことに取り組むわけですから、最初は時間が足りません。ほぼみなさん制限時間を越えます。
越えたひとにペナルティはありませんが、次回からは越えないように、途中でもいいから終了して提出するようにアドバイスします。
すると、みなさん途中やめに気持ち悪さを感じます。
ここが肝心なポイントです。
往々にして仕事とは、制限があるなかで、最短距離を走って形にすることが問われます。
仕事の出来に気持ち悪さがあるのなら、工夫してそれを軽減させるしかありません。そのためのアプローチを、まずはみなさん考えてもらった上で、アドバイスするのが僕の仕事です。
こなしているうちに、自分なりの工夫の仕方が身につき、自然と時短に向う姿勢が身につきます。
ただ、これは僕の解説をただ読み込むだけでは決して身につきません。実際に頭を使い、手を動かした人でないと実感できないです。
コミュニケーションの難しさを知る
就活では、コミュニケーション能力の高い人が望まれるそうです。
コミュ力って、なんなのでしょうね。人の気持を先回りして、関係を円滑にできる力、みたいに捉えられているのか、あるいは人の懐に飛び込んで、気に入られる力なのか。
SSHPの文脈で僕が語るコミュニケーション力とは、「人の言っていることと、その意図が理解できる」「自分の考えを伝えられる」この2つです。
そんなこと知ってるわ、と思うかもしれませんね。
でも、みんなびっくりするほど出来ません。
ちなみに、インターンシップブログの最初のエントリは、まさにこれに関するものでした。
先日出した課題を例に、コミュニケーションの難しさを解説します。
Name the best potential partner for the company (Honestbee). Why so?
このお題・・・単純に見えて、わりと難しいです。
Honestbee(食事や生鮮食品のデリバリー企業)という企業の、潜在的な提携先を挙げよ、という意味です。
第1のポイントは、Nameを(例などを)挙げる、という意味だと解釈できるか。「名付ける」と思ってしまう人もういます。
次に、potential partnerをどう訳すか。形容詞なので、「潜在的なパートナー」。つまり、まだ提携していない企業を挙げる必要があります。逆にgrocery stores(スーパーマーケット)などは確かに不可欠で強力なパートナーかもしれませんが、すでには提携しているので「潜在的な」に該当しません。
この誤解にいたるのは、日本語の「ポテンシャル」に引っ張られてしまうケースです。名詞のポテンシャルだと、「能力の高さ」という感か強いので、「スーパーマーケットはポテンシャルあるよね〜」という思考に陥ってしまいがちです。
オンライン課題は、間違う場
僕はどんな解答を頂いても、その内容で研修生をジャッジすることはありません。
英語の得手不得手はありますが、それも二の次です。
それよりも、評価するのは、第1に忙しい中で時間を作り、知恵を絞って解答を作ってくれたこと。次に、そのなかでいかに工夫したか。続いて、同様のミスをしているか(≒教訓が活かされているか)。
上述の「思い違い」「勘違い」は、研修生によるリアルなものですが、自分の頭で考えたうえで間違えた研修生は、そのことを覚えている可能性が高く、同じミスをする可能性が低くなります。
SSHPのオンライン課題は、自由に間違えて、飛躍的に学びはじめるきっかけとなる場です。
無理してでも参加して欲しい・・・と願う理由はここにあります。
英語で丁寧に書く
前述の通り、英語には得手不得手があります。
SSHPは英語力に優れた人だけのプログラムではありません。完璧に固執して動けないよりは、不完全でも動ける人のほうが活躍できます。
しかしながら、英語を雑にしていい、というわけではありません。雑な英語を使っていると、ギリギリのラインにおいて足元を見られる可能性があるからです。
似たようなスペックの人材が居て、方や丁寧に言葉を使い、方や雑に使っていれば、前者に傾くのは当然のことです。
では、雑とはどういうことか。
あくまで僕の感覚ですが、中学校1年生で習う程度のルールに足してエラーが頻発する状況をみると、雑だなぁと感じてしまいます。
例を挙げると
- 冠詞が抜ける
- aとanの使い分けていない
- 三人称単数のsが抜ける
のような、初歩中の初歩。
ある程度英語ができるのにそういう状況になるのは、やはり不注意。
レベルにもよりますが、できるのにミスしている人は、バシバシ指摘します。