SSHP3の受入先スタートアップ企業のIntraixには、全員で昼ごはんを買い出しに行って皆でワイワイ食事をとる習慣があります。先日おじゃましたとき、インド出身のソフトウェアエンジニアのSaikとAravinと、研修生、僕の4人で話をしながらランチをとりました。
ほがらかで親しみやすい2人が節目英する、スタートアップで働く理由。竹を割ったように明確で、論理的で、リスクに対して前向きで、まぁとにかく感じ入ってしまったので、でまとめることにしました。
超巨大企業に入った自分に焦りを感じた
>>>そもそも2人はシンガポール出身じゃないよね?
Aravin:ふたりともインドのチェンナイだよ。NUS(シンガポール国立大学)で勉強するためにシンガポールに来て、電気工学の学位をとったんだ。
Saik:僕も同じ流れ。卒業してしばらくはゴールドマン・サックスでソフトウェアエンジニアとして採用されたんだけど、そこでの仕事がつまらなかったんだ。Aravinを見て少し焦ったよ。彼は卒業後すぐにスタートアップに入ってバリバリ作りっていたから。
>>>G・Sに入った人が、スタートアップに入った旧友を見て焦ったの?
Saik:大きな企業に入って配属された部署が保守系だったんだ。保守も大切な仕事だけど、自分がやらなくてもいいって感じたんだ。そもそもなにか作るのが好きでエンジニアを勉強したわけだしね。
Aravin:SaikがG・Sに入ったことについては何も思わなかったけど、やめてスタートアップに入りたいと聞いた時は「だろうな」って思った。
長期的には、やりたいことをやったほうが得
>>>日本とは逆だね。大企業に入ったら居続けるのがまだ一般的だから。
Aravin:価値の置き方の違いなのかもしれない。最初から高い給料をもらって安心して働くというのは、僕には目先の安定を重視する高リスクな選択に見えるんだ。長い目で見ると、自分が好きで向いていることをひたすら伸ばせる選択をしたほうが、気持ちも安定するし、労働市場での価値も上がると思ってる。
Saik:僕の場合、給料は1/3になっちゃったけど、それは一時的なこと。いまやっていることはとても幸せだし、給料も数年後には十分取り戻せる自信がある。だってG・Sなんて戻ろうと思えばいつでも戻れる。スタートアップではとにかく作りまくるからね。レジュメなんて書くことがありすぎて、逆に絞り込む作業が大変なくらい。
>>>エンジニアとしての自分に自信があるんだね。テック系以外の職種も同じことが言えると思う?
Aravin:専門外のことはよくわからないけど、「これだ!」と道が見えていれば、それに沿ったキャリアパスを描くという意味ではエンジニアじゃなくても同じじゃないかな?まぁ、エンジニアのほうが将来を描きやすいのかもしれないけど。どうなんだろ。もし明確にやりたいことが決まっていない人でも、スタートアップで働く価値はあると思う。いろいろやらざる得ない環境だから。
Saik:確かに(笑)今の職場では急場で作ったソフトが動かなくて、作り直しなんてことも珍しくない。僕たち2人で0から100まで責任をもたなきゃならい。でもそれにやりがいを感じている。営業サイドのスタッフだって、プロモーション、提携、向上との連絡まで自分でやらなきゃいけない。
Aravin:CEOとCTOがコーヒー買いにパシらされるしね(笑)
自分の需要を高めつつ、未来を考える
>>>故郷のインドでは企業熱がすさまじいみたいだね
Aravin:起業はトレンドというか、大きな波になってる。もちろん下らなく思えるようなものもあるよ。僕の友人は、水のボトルを買いたい時にいつでも届けてくれる仕組みを作る会社を立ち上げた。チェンナイにはコンビニも露店もたくさんあるからうまくいくか分からないけど・・・でも思い立ったらすぐ動くという気風がいつのまにかできたみたい。
Saik:きっとインドにはソフトウェアエンジニアが溢れているからだね。最近はインド工科大学の卒業生騒がれているけど、それは上位の一握りの話で、その下にも優秀なエンジニアの卵が毎年大量に輩出されていて、全員を受け入れるだけの仕事がインドには無いんだ。だから外国に行けない人たちは喜んでスタートアップで働くし、起業もする。
>>>逆にシンガポールは慢性的なエンジニア不足だって聞くね
Saik:そう、だからシンガポールに居られるのは、僕達にとってはラッキーかもね。
Aravin:Intraixにとってもラッキーだったんじゃないかな(笑)エンジニアが足りないこの国で、僕達のほうから彼等に近づいていったので。
>>>2人は起業を考えているの?
Aravin:常に意識しているよ。でも今じゃないかな。Intraixで初の一般消費者向けデバイスのローンチが控えているんだ。今はそれに無かって全力だよ。
Saik:僕も今じゃないと感じてる。とにかく作りまくって、経験と実績を作って、その時がくれば迷うことはないはずだから。
はなしを聞いて
小一時間ほどの話でいろんなことを聞くことができました。エンジニア特有の楽観というか、達観というか。目に見えないリスクに怯えるようなことは一切なく、自らの価値を高めて未来のリスクをコントロールしてやろうという気概は、年齢性別国籍を超えてカッコいい。
明るくて前向きなIntraixのエンジニア2人
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シンガポールのスタートアップで3週間を過ごす研修プログラムSSHP。第4期:2016年8月下旬〜9月上旬に興味がある方はこちらからご連絡ください!
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