参加者が語る海外研修プログラム(SSHP第3期)体験記②:インターンシップブログ

日本の学生インターンがシンガポールのスタートアップで過ごす研修プログラムSSHP第3期参加者の声

続いては東京大学工学部の4年生の中野克哉さん。チームではなく単独での研修でしたが、抜群の積極性と英語力を活かしてくれました。

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どんな会社で何をしたのか

私はIntraixというスタートアップでインターンをしました。Intraix社は2012年にNUS(シンガポール国立大学)出身の若手企業家、BryanとDarrelという二人によって共同で立ち上げられました。NUSがスタートアップ支援のために立ち上げたブロック79内にオフィスをかまえるHEMSとIoT分野のスタートアップです。消費電力量を可視化しスマートフォンから電源のオンオフを可能にするスマートプラグなどの開発経験を持ち、省エネ意識の高い日本の消費者市場を潜在性の高いマーケットとして考えています。

現在は「KLUG HOME」というデバイスを開発中で、2016年4月にアメリカのクラウドファンディングサイト”Indiegogo”においてファンディングを始めたところです。このデバイスは、エアコンをはじめとした電子機器や種々のウェアラブルデバイスなどを、家庭のWiFi環境を利用することで複雑な操作を不要としながらネットワーク化し、電力使用量の可視化やエアコンの自動調節を可能にするという新たなスマートデバイスです。

Intraixで私が担当した業務は以下のようになります

・日本の電力自由化による市場変化に際したIntraixの進出機会の模索

・日本市場進出のための提携企業調査

・日本のクラウドファンディング市場の調査

・Indiegogoキャンペーンにおける日本企業向けメディアリリースの作製

・メディアピッチの翻訳

といった、日本市場進出に向けた様々な調査、資料作成を担当しました。

なぜ参加したのか

スタートアップでインターンとして過ごすことで少しでもビジネスの世界を知りたいと考えたこと、日本人が海外で働くということがどういうことなのか知りたかったということが主な理由です。

 理系学部で大学の中だけで大学生活を送ってしまったと感じていたので、社会について実感をもって知るためにはインターンが手っ取り早いと考えました。また、将来的に海外で働きたいという漠然とした憧れがあったため、実際に海外で働くということがどういうものなのかを体験してみたかったからです。

なにが出来て、なにが出来なかったのか

難しいと感じたことが2つあります。タスクを管理し時間を意識して作業を行うこと、相手の指示の背景まで理解し相手が求めていることを掴むことの二つです。

 貴重な三週間という時間において様々なタスクを与えられる中で、このタスクにはどれくらいの時間がかかり、またかけるべきなのかを考えることは非常に重要となります。慣れない作業に取り掛かる中で時間予測を立てることができず、その日にやろうと考えていたタスクが終わらないことが多くありました。

 また、相手が本当に求めていることを掴むことは非常に難しいと感じました。例えば初週には電力小売市場自由化による日本の市場の変化についてのレポート作成を行いました。私は日本の電力会社について網羅的な調査を行おうとしたのですが、相手が求めているのは提携可能性がある日本企業の候補リストであり、私がおこなった作業は非常に無駄の多いものとなってしまいました。

 仕事をするうえでこれらの難しい点はありましたが、休憩時や昼休みは積極的に会話に参加していくことができました。シンガポールの英語はシングリッシュといわれているように、非常に訛りが強く当初は聞き取りにくかったのですが、徐々に慣れていき楽しく会話をすることができました。しかし、会話に参加した際に課題だと感じたことが、日本のことについてもっと知る必要があるということです。日本について聞かれたときに答えられないと非常に悔しく感じました。これからは他国と比較した際の日本という視点をもって生活していきたいと思います。

なにを学んだのか

重複しますが、タスクを管理し時間を意識して作業を行うこと、相手の指示の背景まで理解し相手が求めていることを掴むことの二つが非常に大きな学びとなりました。限られた時間のなかでいかに効率的に仕事を行うかと考えた時にこれらの考え方が必要となってくるということを、実感を持って学ぶことができました。

 また、Intraixの職場は非常にグローバルな環境で、インド人のエンジニア、インドネシア人のマネージャー、タイ人のインターンなど、いろいろな国出身の人がいて様々なことを学ぶことができました。その中でも、インド人エンジニアと会話した時に感じた仕事への姿勢は非常に印象に残っています。かれはシンガポールトップの大学を卒業し外資系投資銀行で働いたのちに、Intraixに入社しました。なぜIntraixで働くことを選んだのかを聞くと、自分の技術で面白いものを生み出せる仕事をしたいと話していました。給与は三分の一になったそうですが、スタートアップでの経験はこれからの自分のキャリアにとっても良い経験となるし、モチベーションも高いと語る彼の姿は非常にかっこよく感じました。他国の若い人がどのように自分の人生を設計しているのか知れたことが今回のインターンを通して得た最も大きな学びだと考えています。

帰国後の目標

今後の目標としては、上に書いた二つのことを実際の仕事の中で実践すること、英語の勉強を継続的にすることの二つです。

 さまざまな課題がある中でまずは時間意識をもつことと相手の指示を理解することで社会人として求められる最低限の結果を担保できるようになることが当面の目標となります。一朝一夕で身に着けられるスキルではないため、継続的に意識していきたいです。

 英語の勉強についてはやはり海外で過ごす中で自分の英語力についてまだまだだと実感しました。今回の滞在を通して、様々な考え方の人がいる海外の環境で働きたいという気持ちがより強くなりました。今後はスカイプ英会話などスピーキングの練習をより増やしていきたいと考えています。

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会社メンバーとチームメイトと

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余談ですが彼はホステルで性別国籍を問わず話しかけることができるバリアフリーな人でした。4月からはITコンサルとして活躍してくれることを祈っています。