「自分から動かない限り、何も動かせない」SSHP5体験記⑤:インターンシップブログ


SSHP第5期が終了しました。参加者の声をお届けします。

過去の体験記一覧は、こちらから。

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増田恵大。大学2年生です。

なぜ参加したか?

僕がSSHPに参加した動機は、まず自分に足りない実務経験と海外経験がほしかったこと、加えてこのプラグラムの特徴であるコーディネーターからの充実したフィードバックをもらい、3年次からの生活に役立てたかったからです。

これまで清掃系のアルバイトくらいしかやったことのなかった僕はそもそも実務経験に欠けていました。これまでたいした実績も経験も持っていないが、何か始めたい。そんな自分のニーズに合っていました。また将来働く場所として海外を選択肢に入れながら海外留学や長期滞在の経験がなかったので海外で働くという経験そのものが魅力になりました。

あと僕なんかはまさにそうだったのですが、普通の大学生は他人、特に社会人から日常的に自分の行動について評価を受けアドバイスをもらうといった機会を普段あまり持っていないと思います。経験豊富な社会人と個別に相談できてフィードバックをもらえる環境は自分にはとても貴重だったので、プログラムを通してそれを自己分析と今後の将来設計に役立てたいという思いがありました。本プログラムの卒業生である知り合いの紹介を通してSSHPについて知っていくうちに、参加の意思を固めました。

到着日にかき氷を食べる増田さん(左)。まだまだ余裕。

所属企業と、自分の担当

僕が選んだのはTrabbleという企業で、シンガポールと東京を訪れる旅行者の、質問にチャット機能を用いてリアルタイムで回答する観光業界向けのコンシェルジュサービスを提供しています。ここではマーケティング部門に所属し、主にソーシャルメディアを用いたプロモーション戦略に携わり、既存のプロモーションの拡大と新規プロモーションの探求が主なミッションでした。ここでは僕の苦手としているクリエイティブな要素が強く、かつ自分もよく知らないシンガポールについて英語圏からの旅行者に対して行うPRがメインな中で自分が与えられる価値をなかなか見いだせず、思っていた以上に会社に貢献できなかったなというのが正直な感想です。

Trabbleチームにプレゼンする増田さん(左)。

“Make, Ship, Pitch”の難しさ

“Make, Pitch, Ship”とはSSHP第5期の全体テーマです。そして5期生の中で一番僕が苦労していたことでしょう。 “Make”は作る、”Pitch”は報告する、”Ship”は納品する。自発的な仕事への取り組みを方をシンプルに言い表した、一連の流れです。これをつなげてようやく仕事が形になります。詳しくはこちらを読んでみてください。

Singapore Startup Hack Program (SSHP)の現地研修の序盤、研修生は浮足立ちます。しかし最初の金曜日を迎えるころには、同一人物と思えないほど成長しています。第5期もこのパターンは同じです。どこから手を付ければいいのかわからない初日から打って変わって、フ...

Make:スタートアップにおける“Make”では必要最低限のものを最短のスピードで作りあげることが求められます。僕は昔からこれが苦手でした。加減が下手というか。要領がよくなく最短でやろうとするとひどくテキトーになり、しっかりやろうとすれば無限に時間をかけてしまうタイプの人間でした。例えば、膨大な情報であふれるネットを使った調べ作業では「もっといい情報を」と時間をかけて調査沼にハマってしまいがちでした。そうして作業のけじめをうまくつけられずその後の作業が思うように進まないことが何度もありました。そんな自分には少し大胆めに仕事の全体量を見積もって時間配分をする姿勢が必要でした。そこで同期とヤスさんから作業の計画を立てる段階で「作業に○時間“かかる”」ではなく「○時間“かけて”作業を終わらせる」という考え方を奨められました。加減が難しいことに変わりはないのですが、ここで決めた時間枠を作業時に守ることを意識し始めてからは比較的短時間で作業をまとめ上げる癖がついたかなって思っています。同じようなことで悩んでいる方は試してみてください。

Pitch:作業が形になってきたら企業の担当者へ報告や提案をして説得“Pitch”をします。ここでも再び壁にぶち当たりました。向こうの要求水準に達していなかったり、そもそも要求を取り違えていたり。。。こちらから提案をする際に内容の具体化が十分できていないために相手方に対しうまくPitchできず、有効な提案ができなくて悔しい思いもしました。途中の経過報告としてのPitchも作業の進捗状況を相手方に知ってもらい、疑問点や改善点をあらい出してもらえるので重要です。こまめに作業の情報共有をする習慣もなく英語への苦手意識が強かった僕はこうしたPitchを積極的にできず、自分の裁量が大きいTrabbleのインターンシップでは、結果的に自分のやれる仕事の幅を狭めてしまいました。

Ship:成果物の納品“Ship”はこれまでの工程の集大成になります。これについて僕の場合は積み重ねの難しさというよりは、そのShipする成果物をそもそも何にするかで決めあぐねてしまい苦労しました。いろいろ考えるうちに考え方がブレてしまって。与えられる裁量が大きかった分、3週間で何をどこまで落とし込むか決めるにあたって明確な目的意識と意思表示が必要だったなと後になって思います。

最終プレゼンを終えた増田さん(中央左)とチームメイト(中央右)

変化したこと

プログラムを通してまず物事の筋道をよく考えるようになりました。毎晩のレビューの時間に、作業における物事の目的や原因、解決策などを考えることが多かったため、その思考法が多少習慣付いてきたのだと思います。普段なんとなくこなしていた物事についても「もっといいやり方はないか」と「この不自由さの原因はなんだろう」「今やるべきことはこれだ」といった状況把握や問題解決を考えようとする姿勢が身に付きました。またグループで共同作業をするときに自分のポジションを意識するようになりました。ここでは誰が何についてリードを取っているのか、とか自分はどの立ち位置で動けばいいかなど自分のグループにおける役割や価値などを考えることが増えました。

学んだこと・今後取り組むこと

たくさんありますが自分が最も感じたのは主体性の大切さです。僕はもともと自分から前に出ていくような性格ではなかったため、仕事の裁量が大きく与えられ主体性が求められたこの3週間はだいぶ苦労しました。ヤスさんや同期とのレビューで、特に人を頼ることができていないと言われました。遠慮や拒絶されることへの不快感が先行してなんとなく頼むことに抵抗を持ってしまい自分だけでは処理しにくい問題に当たった時に周りに協力を求める姿勢が欠けていたのでした。自分から動かない限り何も動かせないし、良いものを残すこともできません。

これに加えて、自分に市場価値を見出しそれをアピールしていくことの必要性を学びました。ヤスさんと、現地で働く方に詳しくその話をしていただいて、T字型人材(1つ飛び抜けて秀でているものを持ちながら他の強みも兼ね備えている人)とか、自分の見出した強みがどう今に生きているなど自身の体験を交えて教えていただきました。僕は民間企業でキャリアを歩んでいくつもりなのですが、就活・就職後において自分がどんな価値を組織にアピールして与えていけるかじっくり考えようとするきっかけになりました。

帰国後は、アルバイトとは別に実務を行いスキルを磨きながらお金を稼ぐ何かをやりたいです。無給の奉仕ではなくとりあえず稼げることがしたいです、趣味でめっちゃお金が飛ぶので。まずは長期インターンの中から探してみようかなって思っていますが、同時に自分でちょっとした事業をやることも考えています。例えば今僕は通販サイトを使った輸入ビジネスに興味があり、その手のビジネスで結構稼いでいる人のツテを紹介してもらっているのでその人を参考にしながら始めてみようと思っています。
あと今回英語力の無さを再認識したのでコツコツやっていきたいです。英語力の受け取り方は人次第ですが、自分は結構これを気にしてしまう方で先に述べたような作業内のPitchにも支障が出ていました。それとSSHPの期間中に他のインターン先での交流イベントに参加させてもらったりしましたが、当然ながらそこでも英語話せていたらなって思うことが多かったです。将来のキャリアに直接必要になるかどうかはともかく自分が英語を話せることで交流人口が増えると思うとやっぱり英語力欲しくなりますね。あるに越したことはないなと。

SSHPに参加してよかったこと

まず、ずっと行きたかったシンガポールで長期滞在できたことが嬉しかったです(笑) そこで当初の目的だった海外経験ができたこと、フィードバックとそれに基づいた自己分析ができたことは今後とても役に立ついい経験になったと思います。
そしてSSHP5期のみんなからいろんな刺激をもらえたことですね。参加者みんな頭良いのに加え行動力だったり、洞察力だったり、コミュ力だったり。各々が強みとしっかりとした目的意識を持っていていつもいい刺激になっていました。そんな3週間をみんなとともに過ごせたことは自分にとっての財産です。改めてありがとうございました。

刺激を与えてくれたメンバー。

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コーディネータ後書

増田さんは、第5期で最も目に見えて壁にぶち当たった人物です。既述の通りTrabble社は、幾つかある選択肢からインターンの興味に沿う仕事を選ばせてくれます。これはインターンにとってラッキーである、と同時に苦行にもなりえます。自ら選んだからには、企画、段取り、作成、納品の全てのフェーズで自らリードをとる責任が生じます。そしてTrabbleはリモートワークの環境です。社員とは每日オンラインで話すものの、すぐそばに居るわけではありません。この難しさについては、チームメイトの木谷さんが寄稿してくれた力作を参照してください。

オフィスを持たないスタートアップは割と多く、SSHP第5期の受入企業3社のうち、2社はリモート環境で働いています。無駄な通勤時間がなく、仕事の時間を自由に設定できる素晴らしい環境ですが、難しさもあります。3期連続でSSHPホスト企業になってくれているTrabbleに...

これに加えて、Trabbleのインターン2人は別の仕事を選びました。他のチームはパートナーと同じゴールに向かっているのに対し、Trabbleの2人は日中、ほぼ1人で進むことになります。

「良いモノを作りたい、けど決められない。」「そもそも良いモノってなんだっけ?」「なにやってんだ自分?」

僕の想像ですが、彼のこんな心の声が聞こえるようでした。悩んでも非情にも時間は過ぎるなか、増田さんはゆっくりとではあるけれど、「自分の判断」でモノづくりを始め、最終日にはShipに至りました。

きっと、内容物は本人も満足していないんじゃないかと思います。悔しい思いをしたと思いますが、自分で決めることの大切さを学んだことが、何より大きな成果になったのではないかと思います。決めて、実行して、反省して。来年の就活に向けて、いろいろ挑戦してもらいたいです。