文系学生も知っておくべき技術のこと – IoT・5G・AI – :インターンシップブログ

SSHPは文・理を問わないプログラムで、実際に参加する学生は文系のほうが多いです。

プログラム上どちらが有利ということはないのですが、テクノロジーのちからで成長を目指すスタートアップを舞台にしているため、技術に背を向けてしまうと視野が限られ、せっかくのチャンスを逃してしまう可能性があります。

これからスタートアップでインターンシップを経験する文系学生に向けて、避けては通れない技術「IoT」「5G」「AI」について、概念的に説明します。

技術に精通することは簡単ではないですが、概要をつかむことはできます。

本内容はSlideShareにまとめていますので、合わせてご確認下さい。

はじめに

IoT・5G・AIと、一気に3つも!と思われるかもしれません。

しかし、技術者・開発者を目指すのではなく、それらを利用したサービスを考える側に立つことになる(と思われる)皆さんには、それぞれの詳細を知るよりは「あらすじの中で技術がどう活かされるのか」を縦横に関連付けて考えるほうが分かりやすいと思います。

以下に続くのは、今後組織における意思決定がどのように行われるようになるのか、そして上述の技術がどのように関わってくるのか・・・そんなお話です。

背景

職人技、という言葉が好きな日本人は多いと思います。僕もそうです。

鍛錬に裏打ちされた、決して機械では真似出来ない技術を持つ親方の言うことは絶対。

それと似た状況が、会社や学校においてもあります。

いわゆる「経験と勘」です。なんとなく納得しつつ、しかし疑問に感じる瞬間もあります。

似たようなパフォーマンスなのに、あいつのほうが評価が高い。

アルバイトのシフトリーダーに抜擢された理由が分からない。

人事考課でAをつけてもらったが、Bの人との差が分からない。

コンペに勝った案が、他に較べて優秀だったと思えない。

経験と勘をないがしろにするつもりはありませんが、実のところ、決定に際して根拠が薄弱なことは、びっくりするほど多いのです。

この状況を改善しようと、客観的なデータに基づく意思決定が求められるようになりました。上司の好みによる決定ではなく、マーケットの100万人の動きに拠って決断を下す・・・それが正しいかは別として、説得力はあります。

ところでデータに基づく意思決定という考え方は、最近始まったものではありません。しかし、実現するには壁がありました。

まず、膨大なデータをいかに収集するのか。状況にもよりますが、数字的に真なりと結論付けるために必要なデータは膨大です。10とか100の話ではなく、万・億単位に及ぶデータが必要だったりします。ここを解決するのがIoTです。

個々のデータをまとめて処理するために、データをインターネット上のサーバーに送る必要があります。でも特にモバイルネット環境は混雑しがちです。この状況に取り組むのが5Gです。

サーバー上に集まった膨大なデータ(ビッグデータ)の処理の仕方。どのように扱えば貴重な見識をもたらし、正しい決断につなげることができるのか。ここにAIが活かされます

技術相関図

IoT

いろんなモノに取り付けられたセンサーから、絶えずデータを収集する仕組み

Internet of Things

日本語では「モノのインターネット」と訳されています。スマホやPCのみならず、車が、家電が、街灯が、洋服が・・・ありとあらゆるモノがインターネットに接続する世界です。

IoTイメージ

ここ数年、紙面を賑わすIoTですが、ことさら画期的な考え方、というわけではありません。

IoTの前身(今でもありますが)として、M2M(Machine to Machine)という考え方がありました。親子関係というよりは、親戚という感じで、重複しつつ、進化しています。

M2Mは、個々に機能している機械同士を接続してデータをやりとりする、というコンセプトです。インターネットはマストではありません。閉じられたネットワークでもM2Mは実現できます。むしろそのほうが好都合だったりもします(セキュリティの確保や、混雑回避の観点から)。

機械同士のデータのやり取り、という意味でIoTとM2Mは親しいのですが、目的が異なります。

M2Mは、制御を目的としています。一方でIoTは、多点から膨大なデータの収集を目的としています。

なので、充分な客観データに基づいた意思決定を行うという目的のためには、IoTが理に適っているわけです。

Big Dataが生まれるイメージ

5G

多くのデータを速く・効率的に伝送する技術

5th Generation

日本語では「第5世代移動通信システム」という呼称ですが、5Gのほうが一般的です。

5Gというだけあって、1G~4Gまでがあったわけですが、説明は省きます。

ちなみ携帯電話会社によりますが、スマートフォンの上の方に電波状態を表す記号。4GとかLTEとか書いてますよね?それです。

スマートフォンだけに注目すると、5Gという方式は高速化というイメージがついて回りますが、5Gの優れた点は高速化だけにとどまりません。

5Gは、IoT時代を前提に設計されたモバイルネットワークシステムなのです。

一口にデータといっても、Youtube動画のような大きなデータもあれば、ガスメーターに取り付けられたセンサーで感知したデータなどは(日時、ガス使用量、顧客ID)など、小さく軽い・・・でも数千万世帯から送られてくる(数が多い)場合もあります。

「ネットワーク」とか「データ」などの言葉でイメージがわかない人は、「道路」と「車」の関係を思い浮かべて下さい。ネットワークとは道路網、データは車です。道路には一般道もあれば高速道路もあります。車には軽トラックからスポーツカーまであります。

ネットワークは道路と同じなので、データだらけになると渋滞が起きるわけです。

通勤ラッシュやイベントなど、沢山の人が同時にスマホを使うと、繋がりにくくなったりしますよね?これはネットワークの交通渋滞が起きているのです。

モバイル通信のイメージ

先程の例だと、Youtubeは重くて早い外車です。

IoTデータは個々で見ると必ずしも大きくないかもしれないけれど、発生(収集)箇所は多く、頻度も高い。日本中の道路に小型車があふれかえるイメージです。

5Gではこの渋滞を避けるため、道を強くして、さらに高速と低速の路線を分けて交通整理を行うなどの方策が採らてています。

余談ですが、英語では「データ量」も「交通量」もtraffic(トラフィック)という単語で表します。技術は英語のほうがしっくりくる場合があります。

5Gのイメージ

AI

豊富なデータを迅速かつ正確に処理、解釈するシステム

Artificial Intellingence

3つの技術の中で、人工知能を定義することが一番難しいです。

IoTはセンサーから発する大量データをネット接続で収集するシステム。

5Gはそれらをサーバーに送るための伝送システム。

と端的に表現できるのですが、AIについては、達成された瞬間にAIと呼ばれなくなる宿命を持っています。Google翻訳だって当初はAIと呼ばれていました(僕は未だにある意味AIの一種だと思っています。)

なので、複雑なところはさておき、ここでは膨大なデータを人間より速く解釈し、(場合によっては)提言にまで結びつけるシステムと呼ぶことにします。

まず初期段階に、仕分けと分類があります。

データ処理のイメージ

バラバラだったデータをA地区の住人とB地区の住人に分類しています。ごく単純化しているので、これくらいならエクセルを使えば簡単にできるのですが「設定値が1000項目、データが100万件」のような規模になると、人力では無理でもエクセルでも大変です。

データ処理のいメージ2

この図は、住人をA地区とB地区に分けた上で、「自家用車の有無」という特徴を乗せています。非常に単純な考え方ですが、車関連のビジネス(カー用品、自動車保険の販売など)は、B地区の住人に対して提供するほうがいい、という提言に結びつきます。

ここまででも大したものですが、AIの守備範囲はもっと広いです。膨大なデータから人間が気づくことができない特徴を発見して、指摘することもできます。

この「どこに注目して、特徴とすべきか」をプログラム自身が見つけるこの技術はディープラーニングと呼ばられるもので、ブレイクスルーが期待されている領域です。

これ以上の説明については、ここでは割愛します。興味があったら調べてみて下さい。

やっと準備が整った

データをつかまえて、送って、解釈させることで、正確な意思決定をする。

基本的な考えは、それほどブッとんだものではありません。

それぞれのフェーズで起こっていた課題が少しづつ解決されて、実現に近づいています。

ちなみにAIのボトルネックは、コンピュータの処理速度もそうなのですが、「整然とまとまったデータ」不足が一番の問題でした。

機械学習やディープラーニングなどのAI学習において最も重要なのは、充分な量のフォーマットされたデータなのです。入力形式がバラバラだと、結果に悪影響を及ぼすからです。

これを、設計段階から意識してデータを拾うのがIoTの考え方です。同じ形式で保存されれば処理しやすいです。

まとめ

共有経済について書いて以来、久しぶりの情報的なコンテンツでした。

共有経済①シェアリングエコノミーとは:インターンシップブログ

IoT・5G・AI(ビッグデータ処理)の流れ、いかがでしたか?

最後の部分は少し技術的になってしまいましたが、なるべく平易に説明してみました。

技術そのものを制覇するのではなく、技術で「なにが」「どうなるのか」という視点で話を考えることで、難しい部分をとばして大枠を理解するように心がけましょう。

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