シンガポールのインターンシッププログラムSSHPの名物。毎晩開催する「振り返りの時間」について、正直に書きます。
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3週間、日本の学生がシンガポールの現地企業にアサインされ、昼はそれぞれの会社で業務に従事します。夕方ホステルに戻ると、参加者はコーディネータ(僕)とその日のレビューをします。毎晩。毎晩。
参加者にとっては昼のインターンシップ業務が醍醐味かもしれませんが、僕にとっては研修であり、夜のレビューがメインコンテンツです。なので僕は参加者のことを「インターン」ではなく「研修生」と呼びます。
研修生とのレビューには時間がかかります。
ほぼ初対面の若者が、目の前にいます。学年、性別、性格、境遇、体力、学力、経験、将来の夢など、それぞれ違う研修生が個別に抱えている課題はなにか。その本質はどこにあるのか。どうすれば扉を開いてもらるか。コーディネータとしての手腕が問われます。
なにか普段と違うところはないか・・・自然と研修生の声の大きさ、トーン、姿勢、表情に注意が向かいます。一生懸命書いてくれる業務日報も、多くの手がかりをくれます。内容はもちろん、書いた順序、言葉の選び方、改行の仕方まで、研修生が発するシグナルです。本人たちには「業務日報は感想まで含めて詳細に書いとくと、今後の財産になるよ」と説明しています。それは本心ですが、もうひとつ。限られたレビューの時間で、どんな切り口で、口調で、順序で研修生に対せばいいのか。1つでも多くのヒントが欲しいのも、正直なところです。
研修生を目の前にして、緊張で手のひらに汗をかきます。
もう何100時間も行ってきたプラクティスなのに、慣れません。学生である参加者にとって、ここでの3週間は每日新鮮で、その日と同じ体験は、二度とありません。その中で、もしかすると人生を変えるような体験や発見があったのに、本人は無自覚で居るかもしれない。そう思うと、シビれます。
「お待たせしました。では、レビューを始めます。今日は何した?」
緊張を隠すため、ゆっくりと、僕は切り出します。
初日はたどたどしかった「本日の報告」も、日が経つにつれて自信を持って話すようになります。研修生の成長速度には目を見張ります。でも追求を緩めません。「ゴメン、よくわからなかった。も一回説明して?」「なんでそう思ったの?」「なんのために?」「他の可能性については、検討した?」・・・僕がつつくと、研修生の顔に戸惑いが浮かびます。めんどくさいと疎まれても、食い下がり、掘り下げ、紙に書いて説明し、実演して、反応を待ちます。
じっと待ちながら言葉を交わすうちに、本人たちが何かつかみかけているようであれば、必要な言葉を探して、丁寧に贈ります。
チームにつき、短くて30分。平均45分。長いときは120分。每日2チーム〜5チーム分を3週間、僕ひとりで担当します。手間をかけるのは、研修生は僕にとってクライアントだからです。お客様と言わないのは、心の底では長期的な関係になればいいと願うからです。
ドライに言ってしまえば、プログラムが終了してしまえば、他人同士です。
関係を臨むなら、つたなくても自分の言葉で語らなくてはならない。他人の言葉を盗んじゃいけない。どうしても言葉を借りるときは、自分の心を表す最適な引用であるべきだ、と僕は思います。
時に失言もありますが、僕のプログラムに飛び込んでくれた研修生の3週間が特別な時間になるように、僕はシンガポールで每日振り絞ります。
SSHP夜の風景(コーディネーター視点)
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学生向け海外研修プログラムSingapore Startup Hack Program (SSHP)
2017年2月13~3月3日に開催される第5期のメンバーを募集しています。
春休み、海外で成長したい学生さんの応募をお待ちしています。
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