資金繰りの考え方:インターンシップブログ

SSHP修了生のみなさんから、疑問に思うことや、悩むことを、ブログのネタとして募集しました。

最初のリクエストは

資金繰り・資金調達計画とタイミングについて書いて欲しいですm(._.)m

ということで、お応えします。

いきなりで恐縮ですが、僕は「資金調達計画とタイミング」について書くことができません。Prepared Slides合同会社、あるいは僕個人として経験していないからです。経験していないことを書くのは、インターンシップブログの本分ではないので遠慮します。

さて、資金調達をしたことはありませんが、かつては個人事業主で、いまは合同会社の代表です。これら経験をもとに、資金繰りについての考えを書きます。

資金繰りとは

資金繰りとは、会社が存続するためにお金をやり繰りすることです。

ある月に100万円を売り上げて、人件費や仕入れなどで70万円の支出があったとしますると、その月の利益は30万円になります。

翌月は売上が100万円で支出が140万円。40万円の赤字です。この状態が続くと事業は存続不可能になります。ただし、会計は12ヶ月を1期としてみなすので、バランスをとることができます。文字通り「帳尻を合わせる」ということです。

グッと身近に考えるために、売上=親からの仕送り+バイト代と考えてみてください。クレジットカードを使いすぎたので、バイトの稼働時間を増やして引き落としに備えますよね?それと同じことです。(実際は違うのですが、考え方として、です。)

自己資本 or 他人のお金

Prepared Slidesは100%自己資本です。個人事業主としてスタートしたのですが、現実的な理由(後述します)で法人化せざるをえませんでした。従業員は僕1人です。

完全自己資本で操業するメリットは「決定権が自分にあり、外野から口出しされない」点です。デメリットは、自分でお金の都合をつける必要があることです。

では、他人のお金を使うことついて。

他人のお金には「金融機関から借り入れ」「投資家から調達」の2種類あります。共通するメリットは、使えるお金が増えることで、デメリットは他者によるプレッシャーです。場合によっては経営方針の細かい所まで口出しされます(出資側は「アドバイスしている」と主張するのでしょうが。)

金融機関は貸付金に対する利息で利益を上げます。投資家は、投資した企業の株を取得し、その企業が成長することで株価が上昇する、いわゆるキャピタルゲインがビジネスモデルです。

いずれにしても、企業には事業計画を説明し、実行し、結果を説明する責任が伴います。うまく行かなければ「なんとかしろ」と迫られます。

スタートアップ or スモールビジネス

今日の文脈でスタートアップとは、爆発的な成長を目指す企業を意味します。爆発的とは曖昧な表現ですが「売上1000万円の事業を10年かけて売上を1億円にするぞ」という企業はおそらくスタートアップとは言われません。数百倍、数千倍、数万倍と、指数関数的な増え方をする企業が該当します。

一攫千金を目指すスタートアップは、金がかかります。

多くの場合スタートアップは、眠っている資源を最適分配したり、不条理はびこる巨大産業をITの力で合理化したりと、つまり市場を揺さぶろうとする存在です。

メルカリ(個人売買)は、個人の持ち物という眠っている存在にスポットを当て、流通の場を提供しました。Uber(配車)、AirBnb(宿泊)は、既存の巨大産業(タクシー業界や旅館組合)に直接対峙しています。

これら企業のビジネスモデルは手数料収入でで、1決済あたりの売上は決して高くありません。しかもライバルは続出し、既存業界による抵抗もあります。

こういった背景から、スタートアップは需要・供給の双方において圧倒的なスケールを確保する必要があるのです。1000人、10,000人といった規模ではなく、100万人、1000万人といった規模のユーザ・リソース提供者がいなければ、成り立たない。

だから、他所からお金を引っ張ってくる必要があるわけです。数百万円、数千万円、数億円、数十億円と、ステージに応じてリスクマネーが集まるわけです。

一方Prepared Slidesはスモールビジネスです。スモールビジネスを目指すのであれば、自己資本ではじめられるものが沢山あります。僕がやっている調査業務しかり、インターンシップ事業しかり。

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個人事業主 or 法人

僕は会社を作る予定はありませんでした。フリーランサーとして調査プロジェクトに関わることができれば、と思っていたのですが、一部上場企業のプロジェクトを請け負うには、こちらも会社でなくてはならない、と後になって気づいたのです。

今となっては設立してよかったと思っていますが、若いみなさんならどうでしょう?

個人事業主と法人のメリット、デメリットを考えてみます。

個人の所得について

個人事業主:1年間を通じた収入から、必要経費と税金を引いた残りが個人の利益です。ぶっちゃけ「給与」という感覚が無くなります。確定申告してはじめて自分の年収を知る、というズボラな人もいるかもしれません。

法人:代表者は、年度初めに自分の報酬を年俸として決定しなくてはなりません。儲かったからといって期内に代表者の給与を変動させることは、基本的にできません。

結論:継続的な売上が見込めない(目指さない)なら、個人事業主が無難です。あるならば、好きにしましょう。

税金について

仮に売上がゼロだっとすると:

個人事業主:1年間を通じた収入から、必要経費を差し引いたものが利益になり、そこから税金を引いた残りが個人の利益です。なので、売上が立たなければ所得税もありません。

法人:たとえ売上ゼロでも、法人住民税がかかります(なにせ「人」ですから。)最低基準でも、1年あたり70000円ほど納税する必要があります。

結論:70000円って、痛いですよね。なので、形だけなら法人を作ることはお勧めできません。

信用について

個人事業主:信用がどれほど物をいうか・・・僕は前述のとおり、どうしても法人格が必要でしたが、個人としてできる事業もたくさんあります。

法人:なにか新しく事業展開しようとした際にも、法人のほうが信用されやすいです。SSHPに参加検討する学生の親御さんの中には、Prepared Slidesが法人であることでOKを出した、という例もあったようです。

結論:文句なしに法人のほうが信用度が高いです。長く維持することにより、信用度は増すのではないかと思います(3期程度では、この実感はありませんが。)

僕の資金繰り

さて、意見としてはわかったけど、実際お前はどうやってんの?という話しですよね。

あくまでイメージですが、こんな感じです。

 Prepared Slides の 年予算テンプレート(あくまでイメージです)

繰り返しますが、あくまでメージです。さすがに実数値を出すのは抵抗があるので架空のインプットではありますが、イメージはわくのではないかと思います。

従業員を沢山抱えたり、売掛や仕入れなど、込み入ってくると大変ですが、いまのところシンプルなモデルを続けています。

売上:事業項目ごとに、どのタイミングで幾ら売り上げるか、を表しています。SSHPは春夏の開催で、各160万円を目論んで、継続コントラクトのAは月ごとに20万円・・・みたいな感じです。

支出:従業員への報酬、家賃、税理士への報酬など、固定のものから書き込んで行きます。その他経費は過去に基づいています。僕の場合は海外出張で経費が膨らむので、それに合わせてどれくらい使いそうか変動させています。

上記の場合ですと、売上が940万円、経費が935万8800円で、利益が4万1200円。

テンプレはこんなものとして、どのようなスタンスで自分自身を給料(報酬)を決めるべきか、ということになりますが、それは個人の自由です。

僕は、3期目は自分の報酬をガクッと減らしました。収入に繋がりにくそうなことをやることに決めたからです。たとえばリトアニアに1ヶ月住む、とか。

好奇心を優先させる僕は、経営者というより個人事業主のマインドが強いです。

しかし、プロフェッショナルとしてサービスを提供することに変わりはありません。

皆さんは、何を選びますか?迷ったら、質問して下さい。僕が知っていることなら、お話します。