優れた「聴き手」に「語って」もらう:インターンシップブログ


SSHPの受入企業スタッフとコミュニケーションをとるのは、コーディネーターの楽しみの1つです。SSHP第5期から新たに加わったUnchartedは、東南アジアを中心に宿泊施設を展開する会社です。

研修生によるプレゼン時の際に対応して頂いたMakotoさんという人物。彼の聴き手としての立ち居振る舞いが素晴らしく、僕が個人的に感銘を受けました。ということで、少しお話する機会をいただきました。

SSHP第5期。予定していた全ての初回プレゼンが終わりました。忙しいなか、会ったこともないチームメイトと遠隔で連絡しながら、よくここまで作り上げたというのが僕の感想です。しかし研修生の多くは、緊張や事前調査の甘さから、満足のいくプレゼンが出来なかったと...

>>> こんにちは。今日は時間をとってくれてありがとうございます。研修生たちはうまくやってる?

Makoto:ちょっとシャイなところもあるけど、よく頑張ってくれてますよ。彼等が企画したイベントも実行できそうで、楽しみです。

>>> 今日はMakotoさんに質問があって来ました。初日研修生のプレゼンを聞いている最中、Makotoさんの傾聴姿勢が強く印象に残りました。どんな道を通ってこれほど素晴らしいリスナーにったのか教えてください。まずはMakotoさんの生い立ちとバックグラウンドは?

Makoto:OK。父は日本人で母はマレーシア人。学校ではたくさんのクラブに所属して、リーダーシップを学ぶ機会に恵まれていました。最初にアルバイトをしたのが15才でした。

>>> 見知らぬ人にもバリアフリーで話しかける姿が印象的です。

Makoto:うちの父は典型的な古い日本人で、家で口数が少ないんです。ぼくの社交性は母親譲りかな。連れられて社交ダンスをしていた経験に助けられていますでも、実は人見知りするところもあって、根っからのネットワーカーじゃないですね。作り上げたところが大きいです。

>>> 信じられない・・・流暢な日本語はご両親から?

Makoto:日本語は家庭教師や大学、ホームステイで勉強しまいた。学校で勉強した数年間よりも日本で過ごした2週間のほうが日本が伸びました。

>>> では日英中の3カ国?Makotoさんはあまりシンガポールアクセントを出しませんね。

Makoto:そうですね。接客中や、シングリッシュを解さない人には使いません。コミュニケーションとは、理解し合うためのものですから。逆に状況によって英語をカスタマイズすることもあります。例えば英語が苦手そうな日本人でも、英語で喋りたいと思っている人には、少し日本発音に近い英語でゆっくり喋りますし、インド系のスタッフにはインドアクセントをつけたりします。

>>> 相手のことを思いやって、というこですね。経歴について続けてください。

Makoto:学校を卒業して、中国で半年間インターンシップをした後にパンパシフィックホテルに就職。エントリーレベルから入って、次第にマネージャー、スーパーバイザー、トレイナーと昇進してきました。部門はホスピタリティ(接客部門)です。で、オープニングを控えたマリーナ・ベイ・サンズに転職して、従業員500人の訓練にあたりました。そしてもう一度パンパシフィックホテルに戻りました。

>>> すごい経歴ですね。五つ星ホテルを渡り歩いて。

Makoto:それまでは、ですけどね(笑)。でも少し先が見えたというか、道を変えてみたいと思ったんです。このまま望むことができるのは、高級ホテルで昇進して、給与を上げるくらいで、そこにモチベーションを見いだせなかった。Unchartedに就職したのは本当に偶然だったんです。

>>> 奥さまは何と?やめるときに。

Makoto:奥さんはパンパシフィックホテルの同僚でした。同じ業界だったので理解してくれました。とにかく忙しすぎる生活を変えようと思っていろいろ試したんです。カフェでバリスタ、コミュニケーショントレーナー、Uberの運転手にもなりました。そこでUnchartedのディレクターであるJoshuaを乗せたんです。僕は話し好きだから、乗客に話しかけるんですが、10人に満たない所帯でシンガポール、香港、日本に展開する勢いを感じましたね。

>>> 映画のようなストーリー展開ですね。アメリカではUber運転手が起業家を乗せて、そこでビジネスの話をするケースが結構あるみたいですが、シンガポールも同じ?

Makoto:うーん、初期はそうだったと思います。でも今は配車アプリは誰でも使うようになったから、昔に較べて薄まったと思いますよ。

>>> Unchartedに入社した決め手は?

Makoto:働く意義があると思ったから。そして会社の方向性と自分の嗜好・スキルのマッチングです。Unchatedはただのホステルじゃなくて、「コミュニティ」づくりを掲げて動いています。一貫してホスピタリティ畑を歩んできた自分が価値を作り上げられると思ったんだ。

>>> コミュニティ・マネージャーってなかなか聞かない職種だね。何をしてるの?

Makoto:全部です。コミュニティというのは「宿泊客」「スタッフ」「地元近隣のビジネス」の有機的なつながりによってできると考えています。例えば近所のレストランとフードツアーを主催して、ゲスト同士がスムーズに交流できるような場を提供しています。

>>> 3つの要素うち、一番難しいのはなんですか?

Makoto:スタッフですね。1つは既存スタッフのトレーニング。従業員の意識を高めることは簡単じゃないです。業界的に、ホテルスタッフというのは、とくにローエンドのホステルは昔から低賃金で、働く側もなんとなくあきらめムードがあるんです。もう一つは当たらな人材の確保。外国人雇用は規制があるし、やはり低賃金のイメージがつきまといますから。

これにくらべると、宿泊客はフレンドリーだし、地元のビジネスにコンタクトするのは簡単です。シンガポールならではですね。

>>> 「スタッフ」面の課題をどのように解決しますか?

Makoto:Unchartedは”Exploration(探索)”をいう言葉をスローガンに掲げています。具体的には、従業員に積極的に休暇を与え、海外旅行に出かけてもらっています。受けたサービスの良し悪しを大いに参考にして、日頃のオペレーションに活かしてもらえると考えています。こういう動きをしているホステルは他にもあるかもしれませんが、企業の仕組みにしている例はないと思います。ホスピタリティ業界を目指す若者にとって、Unchartedで働くと旅ができる!というのは大きな魅力になるかな、と。

>>> Makotoさんの個人的な夢はありますか?

Makoto:Unchartedは既に西新井に1つ物件を持っていますが、日本で拡大して店舗が増えたら、マネージャーになりたいと密かに思っています。僕のパスポート、実は日本のものなので。会社に貢献しつつ、コミュニティを作り上げて、そして自分のルーツである日本で暮らす。最後のは具体的なプランがあるわけじゃないですけどね(笑)。

>>> かなうといいですね。僕もなにか出来ることがあったら是非教えてください。

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インタビューを終えて:

人間好きなんだな、と思います。ホテルやホステルはもちろん、Uberの運転手、カフェ店員、トレーナー、バラバラに見えるけど、彼が就いた職業は、すべて至近距離で人と関わる仕事です。

リスナーとしての魅力は以前書いたとおりですが、話し手としても惹き付けられました。やはり良いリスナーは良いスピーカーでもある、と痛感しました。

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UnchartedのMakotoさん(向かって右)、SSHP5期研修生と