Prepared Slidesが主催する3週間の海外スタートアップ研修プログラム・SSHPでは、シンガポール現地企業の経営陣に提案をぶつけて、フィードバックを受けるまでをミッションとしています。でも15日間 x 8時間をまるまる戦略策定に費やすことはできません。実際は企業が用意する業務をこなす必要があるため、業務時間にガッツリ時間が取れることのほうが稀です。
あえてこのような仕組みにしています。というのも、短期間エントリーレベルのインターンが企業への理解を深めるには、高速で「普段の」実務に触れるのが一番だと考えているからです。それに、たっぷり戦略を練る時間がとれたとしても、会社の中で何が行われているのか分からないまま提案したところで、出てくる内容は薄いものです。
SSHPの参加者が現地研修中に何をやっているのか・・・。これまでの実績をもとに分類してみました。個別にみると分かりにくいですが、まとめてみると、日常のタスクが戦略立案に繋がる、ということが見えてきます。
タスクの性質は、大きく3分類される
- 情報ミッション:リサーチを主とする業務で、1人あるいは社内チームで行う
- 対外ミッション:営業からサポート、提携交渉まで、社外の相手と関わる
- 制作ミッション:コンテンツの作成。基本内製だが、外部と連動する場合もある
それぞれ細分化すると、こんな感じになります。
情報ミッション
営業・製品・展開戦略を立てるためのたたき台です。わかりやすい例は「お客様候補のリストを作る」というものです。このリストを基に営業など、次のステップに進むわけです。企業がマーケットについて熟知していない場合は、お客様のプロファイリングや、競合のサービスについてしらべる、というものも出てきます。情報の収集・分析・整理を行う仕事です。この業務を通じて:
- 業界における会社のポジションを知る
- ターゲットとなるお客様を定める
- リーチするための手段を知る
ことができます。情報戦略の入口ですね。
対外ミッション
社外の人と接することが求められるタスクです。「新しいお客様をつかまえて、使ってもらう」という営業活動といえばイメージがわきやすいでしょうか。でもそれだけではありません。既存のお客様に対するサポートを行うこともあれば、新規機能の試用をお願いする、というミッションもありました。お客様やパートナーの意見は無視できません。この業務を通じて:
- 新規顧客の反応を知る
- ユーザー・パートナーによる不満を聞く
ことができます。製品の良し悪しや、運営上の課題に気づくことになります。
制作ミッション
言語が活かせるという点で、ローカライズ(翻訳)フライヤー(チラシ)作りは任されやすい業務です。ただ、これは単純作業ではありません。意外に思われるかもしれませんが、ローカライズとフライヤー作りはとてもクリエイティブな仕事です。そもそも、ローカライズ=和訳という考えは間違っています。ローカライズとは「現地仕様にする」という意味であり、SSHPの文脈では「日本(人)のユーザにとって使いやすいようにコンテンツをカスタマイズする」という意味です。
例えば、あるマレーシアで不動産を紹介するサイトでは床面積をSq.ftで表しています。これをスクウェアフィートと訳してしまうと、どうでしょう。日本人ユーザにとって、フィートで面積のイメージはわきにくいです。㎡(平米)で表して、単位も変換するべきだと提案することがバリューになります。
制作ミッションでは:
- 現地市場と日本(人)市場の違いを知る
- 会社のアピールポイントを把握する
ことができます。国・人種をひとつの切り口にしているSSHPでは必須の情報です。
全部ひっくるめて、提案に活かす。
まとめてみると、真剣に日常業務に取り組みことで、基本情報を収集し、製品の強みと弱みを理解し、日本(人)市場に訴求するための戦略を立てる下地を作っているのです。
これらの業務が全て与えられるとは限りませんが、もしもインプット不足を感じるなら、隣の席にCEOがいて、同僚がいて、帰宅すれば仲間とコーディネーターがいます。実務に加えて、知恵とコミュニケーションで補うことになります。
さて、来月始まる第3期はどうなることやら。出国まであと1ヶ月ほど、とても楽しみです。
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Singapore Startup Hack Program (SSHP)
Prepared Slides合同会社が運営する海外研修・プログラム。
2016年2月下旬〜3月上旬に第3期が行われます。詳細はこちら!
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