センスの本質:インターンシップブログ


かつて営業をしていた時代。成績も評価も良かったのですが、直属の上司がこなす仕事の質量と成果は圧倒的で、とても追いつける気がしませんでした。

あるとき「僕に足りないものはなんですか?」と質問すると、とてもシンプルな回答をいただきました。

「勘とセンス」

もうバッサリでした・・・。営業力だけで競うのはやめようと即座に切り替えました。

思い返せば優しい上司でしたが、あらゆる場面で完璧な人物はいないわけで、ほとんど反射的に出た言葉だと思います。が、それゆえに本心に思えてザクッと傷つきました。

ザクッと傷つくことの悪い面は、痛みだけに意識が向いてしまい、裏に潜む大きなチャンスを見過ごしてしまう点にあります。

ともあれ「センス」というボヤッとした言葉と向き合えなかった僕ですが、まだ未熟とはいえ本質が少し見えてきたような気がします。

センスという言葉の意味

「センスあるね」と言われると、嬉しいですよね。これは、センス=キラリと光る才能のように思われているからでしょう。

でも、”sense”という単語の意味(名詞)は:

  1. A faculty by which the body perceives an external stimulus; one of the faculties of sight, smell, hearing, taste, and touch.(身体が外的刺激を感じる能力:視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚など)
  2. A feeling that something is the case.(何かがそうだと解る感覚)
  3. A sane and realistic attitude to situations and problems.(状況や問題に対するマトモで現実的な態度)
  4. A reasonable or comprehensible rationale.(合理的、包括的な解釈)
  5. A way in which an expression or a situation can be interpreted; a meaning.(表現や状況の解釈・意味)
    以上、Oxford Dictionariesから引用
2・3などは日本語のセンスに近いですが、それでも「才能」という意味はありません。
 

感覚は、継続した刺激で磨かれる

さて、辞書によると”sense”の本来の意味は「感覚」で、感覚は回数を重ねることで研ぎ澄まされます

日本で生まれ育って日本のカレーに慣れた人が、初めてタイカレーやインドカレーを食べた時の感想は「口に合わない」が正直なところ。でも、格好つけて食べるうちに慣れて、日本のカレーより好きになる人もいます(僕です)。

これが「味覚」が磨かれた状態。

何となくスパイシーだと感じていた香りが、自分でインドカレーを調理するようになると「クミン」や「カルダモン」の香りが解るようになります(これも僕です)。

これは「嗅覚」が磨かれた状態。

五感以外にも、色々な感覚があります。

バイトを始めたころは先輩に注意されてばかりだったけど、次第に先回りして問題を回避できるようになった。

これは「危険を察知する感覚」が磨かれた状態と言えます。平たくいうと、勘です。

上記に共通するのは、継続的に反復することで能力が伸びることです。最初うまく行かなくても、練習するうちに上手くなります。

習いはじめは伸びしろが大きいと言われますが、言い換えれば全く使っていなかった感覚(センス)をゼロから磨くのが初心者なので、大きく進歩するのはうなずけます。

単一の感覚(センス)を磨くイメージ

もちろん、ただ反復すればいいわけではありません。カレーの場合だと「ちょっと爽やかさを足したいので、今度はカルダモンを多めに」など、意識的な工夫は欠かせません。

様々な刺激を受ける

ずっと同じ刺激を受け続けると、次第に感覚(センス)の伸びは鈍化します。良くも悪くも人間には慣れがあり、成長曲線は急カーブから次第に緩やかになります。

一つのことに打ち込むことも良いですが、個人的には複数の刺激を受けて欲しいと思います。同時にこなすか、次第に増やすかはその人次第です。

複数試す理由は、適正はやってみないとわからないからです。たまたま運悪く、全く向いていないものを選んでしまう場合もあるでしょう。考えることすらストレスになるようなことはやめて、次に移ればいいと思うのです。

そして磨いた感覚(センス)は武器になります。使える武器(選択肢)は沢山あっても邪魔になりません。

複数の感覚を磨くイメージ

センスある人=複数の感覚を繋げて表現できる人

様々な刺激を受けてほしいもうひとつの理由は、センスとは飛び抜けた1つのスキルや才能ではなく、状況に応じて発揮される感覚群(複数の感覚)を総合して「その人のセンス」と判断されているからです。

個別に磨いてきた感覚を意識して組み合わせたり、あるいは自然とつながったり・・・脳の神経細胞の様な構造を想像してみてください。

センス(感覚)のプール

スポーツしている時、仕事している時、料理している時・・・活性化している感覚群状況によって変化します。なのでセンスがある人とは、状況に応じて感覚をつなげて対処する人、のことだと思うのです。

同じ話を聞いても、話し手によって面白いと感じることもあれば、そうでない場合もあります。では話し上手と言われている人は、何を評価されてセンスがあるとされているのでしょうか。たとえば:

  • 選ぶトピック
  • 長さ
  • 話法(声の大きさ、トーン、速度)
  • 例え話
  • 擬音
  • ジェスチャー
  • 声質・通り

まだまだ他にもあるとは思いますが、とりあえずこんな感じで。

話が上手い人は、聞き手の状況によって上記の要素に工夫を凝らしています。聞き手の知識が足りない場合は、情報量を増やすために長くなり、例え話も増えます。初対面の人がいれば、置いてけぼりにしないように内輪だけで通じる言葉は避ける、などなど。

加えて、自分の容姿、性別、バックグラウンドが相手に与える印象も考慮しています。

一つではないのです。

働く上でも、同じこと

スキルは掛け算することで価値が上がるというお話をうかがいました。SSHP4・5期生がFacebookシンガポールで伺ったときのことです。

シンガポールに長期ステイする日本人はおよそ3万とも4万とも言われています。おおくは日本企業から派遣された駐在員とその家族ですが、それだけではありません。先週の月曜日、シンガポールにあるFacebookアジア本部で働く日本人のAさんに、ご好意で本社を見学させて...

要約すると、単一の技能・技術で生き抜くのは今後難しくなるので、その状況に応じてどんな能力を棚卸しできるのか、それが重要だ、とのこと。僕も同意見です。

これは、センスを磨く(=複数の感覚を組み合わせる)という考え方と酷似します。

仕事に直結して考えるなら、やはりインターンシップはスキルを磨くということもありますが、どのようなスキルが今後必要となるのかを考える絶好の機会になるはずです(もちろん意識すれば、ですが)。

まとめ

生まれ持ったものや、育ってきた環境がその人に与える影響は小さくないと思います。ですが、継続的に似た刺激を受けること、そして様々な刺激を受けること。これらを意識的に行うことはだれにでもできます。

だから、色々な所にいって、色んな体験をしてほしいです。

2015年、シンガポールでのインターンシッププログラムSSHPを立ち上げて以来、5回目を迎えます。将来海外で働きたい、英語を使ってみたい、環境を変えたい、起業したい・・・研修生の目的は様々ですが、全ての研修生は経験を求めて僕のプログラムに参加します。世界屈...

努力も才能だと言われれば、確かにその通りではありますが、努力が出来ないのは、切望していないから、というのが僕の考え方です。

もし「センス」というあいまいな言葉に振り回されて落ち込んでいるなら、単一の感覚を磨くことからはじめるといいかもしれません。気がつくと、身についています。

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