強みがないから、考えて行動した – SSHP卒業生の就活談:インターンシップブログ

SSHP第4期に向けて運営側は鋭意準備中ですが、プログラム卒業生も多くは就職活動に忙しくしています。そんな中、第1期生の寺岡直人さんから内定が出たと知らせを頂きました。最近話題になっている「あの会社」に所属するということで、話を聞いてきました。

新卒市場で決して有利なポジションにいない彼の活躍は、これから就活を戦う人にとって参考になると思います。

企業に評価されたのは「責任感」と「発想力」

>>> お久しぶりです、直人くん。現状を簡単に説明してもらえますか?

寺岡:お久しぶりです。就活は完全に終了したわけじゃないですけど、区切りはつきました。全部で20社くらいエントリーして、正式に内定を頂いたのは3社です。インターネットメデイア大手、オンライン広告企業、それからDMM.comです。

>>> おめでとう、どこが評価されたと思う?

寺岡:企業の方には「最後までやり遂げそうだから」と言って頂きました。それから、「発想が面白かった」とも。賢そうだと言われたことは一度も無かったです(笑)。

>>> たしかに秀才キャラじゃないよね(笑)。具体的なエピソードはある?

寺岡:ある企業のグループワークで「○○万円を与えます。手段は問わないので、自分が持っているリソースを活かして一定期間で増やしてください。ただし、非合法な方法とギャンブルは不可」というお題を与えられました。最終的にはプレミアムブランドの限定商品の転売をしました。

実は、イベントを運営するというA案が頓挫したんです。そこで、残された時間、予算、自分が興味を持っているファッションブランドと、それに精通している友人のアドバイスをフル活用できるのが転売だと考えました。利幅を考えると限定商品が魅力的で、メルカリ・ヤフオクのような販売プラットフォームも使えます。僕が担当したのは企画と実行で、ロジックや資料作りは優秀なチームメイトに任せました。僕だと半日かかるようなスライドをものの1時間で仕上げるのを見て、チームワークの大切さを学びました。

>>> 適材適所だね。結果はどうだったの?

寺岡:赤字でしたが、売上高は1位で評価も高かったです。他のチームが予算を半分ほど残していたんですが、僕たちは使いきりました。

>>> 「リソースを活かせ」という助言が鍵だったんだね。知識や人脈だけじゃなくて、予算や時間も立派なリソースだから、自由にしていい予算を目一杯使える思い切りも評価されたわけだ。

寺岡:そうだと思います。

苦手だから、数をこなすしか無い

>>> 面接ではよく聞かれたと思うけど、自分の長所はなに?

寺岡:現状を把握して、粘り強く行動できることです。SSHPから帰国して、日本のキュレーションメディアで1年間ほどインターンしていました。担当はソーシャルの運用で、特にFacebook広告の効果測定に力を入れました。画像、文章、タイミング、ターゲッティングなど、いろいろと設定を変えて徐々に改善し、最終的にCPAを40%削減しました。

>>> ポイントとエピソード、具体的な結果・・・バランスがいいね。冬に会って自己分析シートを拝見した時にはまとまりが無くて心配してたんだけど、どんな準備をしたの?

寺岡:選考対策については、とにかく経験が足りないなと思っていました。特にグループディスカッションが苦手だったので、模擬練習できる研修に参加したり、短期インターンシップも活用しました。当初は焦りましたね。頭のいい人がしゃべる展開に全然ついていけないんです。けど、何回も繰り返すことで、自分なりの抜け道が見えるようになりました。それまでは頭のいい人にペースを合わせなきゃいけないと思っていたんです。

持ち味を活かすことと、アピールのバランス

>>> お、興味深い。詳しく教えてください。

寺岡:自分はプレゼンが下手で、論理的に流暢にしゃべるのが苦手で、そこは回転の早い人に持っていかれるんです。最終的にまとめて発表する人だけが目立つような気がして焦っていたんですが、面接官が見ているのはソコだけじゃないと気付きました。みんなが競って主導権を握ろうとするなかでは、適切なタイミングでアイデアを出すことも同じくらい評価されるんです。自分は広く浅く物事を見るタイプで、深くなくてもアイデアは出せるんです。

>>> 「適切なタイミング」とは?

寺岡:2つあって、1つは話の流れを変えたい局面のことです。場を早めたり、緩めたり、止めたり、ここぞというタイミングで自分のアイデアを出すようにしました。もう1つは、面接官が見ているタイミングで発言する、ということですね、あざといですけど。

>>> いや、大事なことだね。ロジックや求心力ではなく、サポート側でアピールしようとすると、自分の発言頻度が低くなるから。

何も持って無かったから、自分に投資した

>>> 直人くんはSSHP第1期の参加決定第1号でした。3年生になる直前の3月。なんで参加しようと思ったの?

寺岡:自分はこのままだとまともに就職できないという危機感がありました。特にやりたいこともなく、大学のブランド、語学力、ビジネス経験も無かったので、旅行や語学留学じゃなくて、もっと厳しい環境で自分を鍛えようと思っていた時にSSHPを見つけたんです。

>>> 不安は無かった?

寺岡:説明を聞くまでに不安だったのは、英語力で足切りされないか、という点でした。TOEIC500点も無かったんで。逆にそこ以外は何も思い浮かばないほど無知だったんです。実際に説明を聞いてからは「お金さえ払えば、この機会は自分にとってプラスしかない」と思いました。

>>> 「お金さえ」って・・・ぶっちゃけたね。

寺岡:スミマセン。でも数年後に社会に出る人間として、色々と足りないと思ってましたから、手段を選んでる場合じゃなかったんです。

>>> いや、いいと思う。知識や経験のために「投資する」と割りきれたんだから。で、実際どうだった?

寺岡:参加してよかったです。手を動かすこと、考えること、人に会って伝えること、色々経験できました。「状況を把握して行動できる」という自己PRポイントはSSHPがきっかけで深く考えるようになりましたから。ただ、シンガポールではすごく楽しかったんですが、出来なことへの歯がゆさは凄かったですね。

>>> まさに「出来ない自分」が浮き彫りになったと。帰国して、何を意識して就活に臨んだ?

寺岡:経験を言語化して、人に伝えられるように意識しました。DMMのケースだと、オンライン英会話のスタートアップでアルバイトしていた経験を繋げることができましたし、じっくりとソーシャルの運用に関わって成果をあげた事例から自分の粘り強さをアピールすることができました。

>>> SSHPの話はどれくらい就活で使った?

寺岡:SSHPとシンガポールネタは面接で相当受けが良かったです。ただ、興味を示された分ツッコまれるんで、しっかり話を準備する必要がありますね。

カオスな環境で働いている自分を想像して、ワクワクする

>>> で、DMMに決めたんだね?すごくうらやましいです。僕が新卒だったら迷わずDMMを第1希望にします。

寺岡:入社を決めた理由は色々あるんですが、枠が定まっていなくて、でも軸はあって、面白そうだったことですね。DIYモノづくりはこれから伸びる可能性が高いし、英会話も世界展開があり得ます。皆が同じ方向を向いてない感じが好きですね。これからバリバリはたらいて、何が出来るのかを考えるとワクワクします。

>>> アフリカもあるしね。整備されてない点もあると思うけど、面白そうな会社に決まってよかったね。同期もきっと面白い人が沢山居るよ。

寺岡:ですね。どの部署に配属されても楽しめる自分でありたいです。

>>> またお話きかせて下さい。今日はありがとうございました。

寺岡:ありがとうございました!

**********(以上)

インタビュー後記

直人くんにはじめて会ったのは2015年の冬。新宿の喫茶店でSSHPの説明をしました。勉強が苦手で英語も全然ダメと潔く語ってくれました。

面白いと感じたのはシンガポール入りしてから。語学力は参加メンバーの中でダントツに低いのですが、目を離すとフラフラと路上の物売りや休憩中のリアカー自転車の運転手に話しかけていました。「何か興味があったので色々聞いてました」とのことで、ボディランゲージとニュアンスだけでよくここまで成立するもんだなと感心したことを覚えています。本人は「浅く広く」と謙遜しますが、独特な着眼点と行動力の一端を見ました。

帰国後は、自分の持ち味、足りない点を見つめなおして、経験を繋ぎ、苦手を克服するために色んな場に出向き、就活で納得行く結果を得たようで、僕はとても誇らしいです。

1年後、直人くんが楽しく仕事をしていることを願います。

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SSHP研修中、スターバックスで打ち合わせする寺岡さん