フィンテック・スタートアップTransferwiseが解決してくれた問題:インターンシップブログ

僕はスタートアップ(ベンチャー企業)が好きです。

脚光を浴びて、キラキラしていて「世の中を変える」勢いに惹かれる・・・のではありません。

スタートアップは、世に長く存在する様々な問題を解決してくれます。だから好きです。

つい先日、Transferwiseというイギリスのフィンテック企業が、僕が抱えていたストレスを解消してくれたので、紹介させていただきます。

発端(問題)

あるシンガポール企業の発足に際し、個人として資本参加することを決めました。マイノリティ出資者として覚書を交わしたので、僕個人の銀行口座からその企業の銀行口座に送金する必要があります。

マイノリティとはいえ、個人としてはおおきな金額なので、気を使います。

僕が日本で利用している銀行は、みずほと楽天です。法人口座での海外送金で楽天銀行を利用しているので、楽天銀行に軍配が上がりました。

楽天銀行の手数料は、メガバンクに比べて低く設定されています。Transferwiseも昔使ったことがあり、利便性は認識していましたが、トータルでは楽天銀行のほうが安くなると見積もり、楽天銀行に決定しました。

12月下旬に手続きをして、2週間後。

送金はうまくいかず、僕の口座に戻されました。

海外送金がうまくいかない場合「組戻手数料」なるものが発生します。金額は非公開としますが、送金額が大きかったため、上記の送金手数料の10倍近くの組戻手数料が差し引かれました。

銀行同士の海外送金で僕が感じたストレスは、手続きが複雑で、プロセスがブラックボックスであること。(手数料の高さもありますが、ストレス度合いは比較的低いです。)

Transferwise

ロンドンのフィンテックスタートアップであるTransferwiseは、海外送金を専門としています。

楽天銀行で失敗した日に、Transferwiseに切り替えました。

結論から言いますと、手続きは5分。その日のうちに、先方口座で入金が確認されました。

送金の仕組みを比較

銀行同士の海外送金は(コンセプトを理解するのは)それほど難しくありません。

  • 日本の送金依頼者が日本の銀行に対し、送金依頼をかける
  • 日本の銀行から、外国の銀行(受取側)に対して送金依頼をかける
  • 全てのプロセスで問題が無ければ、受取側の銀行口座に入金される

銀行同士の海外送金の簡略図

一方で、TW(Transferwise)での送金はこんなルートをたどります。ひとまず下図の濃い緑色だけ注目して下さい。

  • TWに送金依頼をかける
  • TWが保有する日本の銀行口座(三菱東京UFJ銀行)に送金する
  • TWが保有する外国の銀行口座から、受取側の銀行口座に送金する

Transferwise経由の送金最もおおきな違いは、Transferwiseの場合、お金は国境を越えません

日本の送金者は、TWが持つ日本の銀行口座に国内送金します。そして、受取側の国では、TWが持つ現地の銀行口座から、受取人の現地口座に国内送金されます。

この方法なら、高額な銀行間の海外手数料や、為替手数料をぐっと抑えることができるのです。

このままだと、TWが保有するそれぞれの国での銀行口座に不均衡が生じるのではないか。つまり、日本の口座の残高が増えるけど、外国の口座の残高は減ったままになるじゃないか。

しかし、そうはなりません。上図の薄い緑で示すように、海外送金需要は一方通行ではないからです。逆に外国から日本に送金する人も必ず存在します。双方向の送金を受け付けていれば、両国の銀行口座残高は枯渇しません。

(もちろん、需要は50/50ではないので、バランスを保つためには高度な知識と技術が必要だと推察します。)

簡易さと、スピード

上記の説明だと、Transferwiseを使う利点は手数料の低さにあるように思われます。きっと欧州間だとそうなのでしょうが、日本との場合は少々事情が違います。

楽天銀行は手数料を低く抑える努力をしているため、問題がなく送金された場合、Transferwiseよりも安価に送金できた可能性があります。

僕が感動したのは、シンプルであること、そして、スピードです

両サービスを比較してみましょう。どちらとも、口座を既に保有している前提です。

楽天銀行のステップ(実際)

  • 楽天銀行のページにログイン後、海外送金ログインパスワードを確認する
  • 海外送金ページ(別のサイト)にログイン
  • 受取人の登録をする(照合内容を参照してください)
  • 送金を依頼する
  • 楽天銀行から送金目的の証明書(契約書のコピー)の提出を求められる
  • 上記をメールで送付する
  • 楽天銀行から電話があり、Faxでの送付を求められる
  • Faxは持っていないので、コンビニ端末から送付する(合計5枚で、250円かかりました)
  • (翌日)楽天側で、送金内容が承諾されたとメールが来る
  • (・・・2週間後)組戻があった(却下された)とメールが来る

却下の理由は説明されていませんが、上記の「受取人の登録」内容に不備があったのではないかと思います。

言い訳がましいですが、受取人の情報は、記入していて不安にります。楽天銀行手続き図の「照合内容」情報をみてほしいのですが、日本の銀行が求める海外の銀行口座の情報は、すごく詳細なのです。

支店の選択ひとつとっても、同じ住所に異なる支店があったりして、混乱します。

そしてダメだったとき、何が問題で差し戻されたのか、理由が説明されない。これが最大の問題です。

せっかく手数料を安く抑えたと思ったのに、随分待ったあげくに組み戻され、高額の組戻手数料を支払っていたのでは、本末転倒です。

名誉のために付け加えると、楽天銀行を非難しているわけではありません。銀行を含め、楽天の金融部門(カード、証券)は、素晴らしいサービスを提供しています。

Faxの送付を求められたときは???でしたが、対応は、銀行としてはきわめて迅速でした。

2週間の空白については、既に楽天側の手を離れているため、どうしようもなかったのではないかと思います。

つまり、銀行間の、海外送金は、そういうものなのです。

Transferwiseのステップ(実際)

  • TWサイトで送金依頼
    • 金額を指定
    • 受取人情報を記入(メールアドレス、受取人名義、銀行名、口座番号)
    • 送金目的を選択
    • 内容を確認
  • TWが保有する日本の口座に送金
  • TWのサイトで、送金済みのボタンを押す
  • (翌日)受取人の口座に、入金されたことを確認

以上です。シンプルです。受取銀行口座の支店や、支店住所の記入がないだけで、入力情報の精度に自信が持てます。

やりとりもスムーズで、上記の「送金済みのボタン」を押して、まもなく確認済みのメールが来ました。

スタートアップの本質

冒頭でも書きましたが、僕は問題を解決してくれるスタートアップが好きです。

Transferwiseは小さな会社ではありません。スタートアップ情報を提供するCrunchbaseによると、これまでに4億ドル近くを調達しています。

しかし、設立10年に満たない企業が、 数百年という歴史を持つ銀行という入り組んだ業界の、海外送金という問題に取り組んでいます。

多くの人の力になり、昨年は年商1億ポンドに届くか、というニュースもありました。

くしくも、僕が出資を決めたスタートアップもフィンテック領域です。将来的には、Transferwiseと競合する可能性もあります。

気合がはいります。

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